中国の情報機関を統轄する中国国家安全省のトップに習近平国家主席の側近が起用されることが分かった。
国家安全省は、汚職などで逮捕・起訴された最高指導部の1人、周永康・元中国共産党政法委員会書記(兼党政治局常務委員)の影響力が強く残っており、今回の国家安全省のトップ交代は習氏の権力基盤固めの重要な要素とみられる。
香港誌「博訊(ボシュン)」が伝えたもので、同省トップに抜擢されたのは党員の不正追及機関である党中央規律検査委員会副書記の陳文清氏。
陳氏は四川省出身で、55歳。西南政法学院(現在の西南政法大学)卒業後、四川省公安庁に入り、同省国家安全庁副庁長や同省検察院検察長などを歴任し、福建省規律検査委書記を経て、習近平指導部が発足した2012年12月、党中央規律検査委副書記に起用された。
腐敗撲滅を掲げる習近平指導部にあって、規律検査委は花形の機関であり、そのトップには習氏が最も信頼する盟友である王岐山・党政治局常務委員が就いている。陳氏は習氏の古巣である福建省閥の1人だけ、同委副書記に抜擢されたとみられる。
その後、わずか2年半で国家安全省のトップに就任するのは異例中の異例。北京の外交筋は「これは、習近平指導部にとって、現在の同省トップの耿惠昌(こう・けいしょう)氏が来年11月には65歳の定年に達することもあり、政法委を取り仕切っていた周永康氏の側近だった耿氏を切る必要があった」と指摘している。