日本最後の野生のコウノトリ生息の地として知られる兵庫県豊岡市――ここが5月28日に大腸がんのために亡くなった俳優・今井雅之さん(享年54)の故郷だ。
5月30日、同市内の斎場で今井さんの告別式がしめやかに営まれた。
「当初は親族だけの密葬の予定でしたが、地元の住民や東京のスタッフなども駆けつけて、約80人の弔問客が今井さんとの早すぎる別れを惜しみました。
最後に彼のお兄さんが、今井さんが原作、脚本、主演を務めた舞台『THE WINDS OF GOD』の名セリフ“肉体は滅びても魂は滅びない”を引用して挨拶すると、会場のあちこちからすすり泣く声があがりました」(出席者のひとり)
斎場には数多くの供花が並んでいたが、その中に「中居正広」の名前もあった――。
SMAP・中居正広(42才)と今井さんと言えば、1996年に放送された人気ドラマ『味いちもんめII・京都編』(テレビ朝日系)での共演をきっかけに20年近く親交を深めてきた仲だ。今でこそ親友というふたりだが、当初は犬猿の仲だった。中居は今井さんと共演した番組で、当時のことをこう振り返っている。
「ぼくは当時22才でしたけど、今井さんはエラい怖いのよ。挨拶してくれないからね。“おはようございます”って言ったら、舌打ち返してくるから…。連続ドラマ4か月ぐらいやってて、3か月ぐらいしゃべってくれないからね」
一方の今井さんもこう反撃する。
「だってね、いちばん最初の印象がよくなかったのよ。本読みのときに、まったく声張らずにやってるから。腹から声出せっていうのに!」 “最悪の出会い”だった中居と今井さん。劇中の役所も犬猿の仲だったが、実際の収録現場でも常に張り詰めた空気だったという。
例えば、ふたりが掴みかかるシーンでは、監督からカットがかかっても、ずっと掴み合い、睨み合ったまま。スタッフが止めなければ、本当に殴り合いになりそうなほど、険悪な雰囲気だった。
しかし、撮影も残り1か月ばかりになったころ、関係は一変する。
「ふたりでの撮影が増えたため、中居さんから今井さんに“今井さん、アイドル嫌いでしょ?”と話しかけたそうです。腹を割って話す中居さんに不意をつかれた今井さんは“そういうわけじゃない”と、しどろもどろになって…この一件をキッカケに会話をするようになったそうです。
中居さんが“将来、オレはさんまさんやタモリさん、たけしさんとサシで番組をやれるようになりたい。トークで生きていきたい”と夢を熱く語ったりするのを聞いて、今井さんは中居さんを見直したみたいなんです」(前出・テレビ局関係者)
一気に距離を縮めたふたりは、撮影後には酒を飲みに行き、朝まで飲んで翌日そのまま撮影に向かうという日々を送った。
その親交は『味いちもんめ』がクランクアップした後も続いた。
※女性セブン2015年6月18日号