前身の大洋時代からBクラスが指定席(65シーズン中48回)で、「横浜銀行」と揶揄されていたのが嘘のように、中畑DeNAベイスターズがセ・リーグの首位争いを続けている。強さの秘密をデータ面から検証する。
今季の横浜の強さは、なんといっても強力打線にある。チーム打率は.265、得点は214点でともにセ・リーグ1位だ(成績はすべて6月3日終了現在)。
この攻撃力は得点効率の良さから導き出されている。データ分析は『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)などの著書があり、プロ野球データに詳しい広尾晃氏に依頼した。
現在の成績を143試合換算した場合に、横浜打線がどこまで数値を伸ばすかをシミュレーションしてみた。打順ごとに本塁打、打点、盗塁、打率を算出すると、今年は1~3番の盗塁と打率が向上し、4番の打点は昨年のブランコが60だったのが今年の筒香嘉智ならば107、5番の打点はバルディリスの52からロペスの70へ、6番は荒波の18からバルディリスの70へと伸びる見込みだ。さらに打順別の打点が4番を中心に分布している。
「昨年に比べて役割分担がはっきりできている。1~3番が出塁して、4番・筒香、5番・ロペス、6番・バルディリスがランナーを迎え入れるパターンが確立している。柴田勲、土井正三の1、2番が出塁し、ONが返す巨人のV9時代と似た得点パターンです。オーソドックスですが、やはりこの形が一番効率が優れている」(広尾氏)
得点効率の良さは「生還率」でも示されている。塁に出た選手がホームインする確率で、横浜はリーグ2位だ(1位は広島の.330)。昨年は.337でリーグ4位だった。
「2011年の尾花高夫監督時代は.283だったが、中畑監督の2年目からは3割を超えている。つまり今年たまたま点を取れているわけではなく、打線の整備が中畑ベイスターズ最大の成果です」(広尾氏)
※週刊ポスト2015年6月19日号