昨年9月、63人の死者・行方不明者を出した御嶽山では、今月から入山規制の解除が順次始まり、地元観光業者らの声は一様に明るい。
「入山規制の解除で7月中旬から営業を開始できます。お客さんが戻ってきてくれるのは嬉しいですね」(長野県・木曽町の山小屋経営者)
木曽町でも7合目までの入山が認められ、「御岳ロープウェイ」の運行が始まった。7月1日には木曽町の管轄するルートが8合目まで入山可能になるほか、岐阜県・下呂市も9合目までの規制を解除する予定だ。
規制解除を最終的に決定するのは地元自治体。その判断は、火山噴火予知連絡会の見解などをもとに決められる気象庁の噴火警戒レベルや規制範囲が拠り所となる。今回の規制解除は、今年3月末に気象庁が規制の範囲を火口周辺3kmから2kmに縮小したことから決定された。
「御嶽山の噴火は、一度噴き出すと収まる水蒸気爆発。すでに小康状態であることは確実なので、入山規制の範囲緩和を決めて自治体に伝えました。地震計やGPSなどで御嶽山の状態は、引き続き総合的に判断していきます」(気象庁地震火山部)
というものの、御嶽山の警戒レベルは噴火直後と同じ3のまま。昨年の惨事は警戒レベル1からの「予期せぬ」噴火だった。噴火直後の会見で予知連は「われわれの予知のレベルはまだそんなもの」と白旗を掲げた。どう考えても本当に安全が確保されたと断言できる根拠は薄い。前出の経営者が話す。
「私たちは国や自治体の判断を信じるしかありませんから」
大きくは変わらぬ予知の体制と不信感はまだ存在する。
※週刊ポスト2015年6月19日号