サッカーのワールドカップで開催国が決勝トーナメントに進出しなかったことはなく(2006年まで)、そのため予選リーグで少々開催国に有利な笛が吹かれることは黙認されるとサッカー界ではいわれる。一方、決勝トーナメントではその特権は認められないとも──。
FIFA公認の「FIFA創立100周年記念DVD」(2006年発売)に「サッカーW杯世界10大誤審」という特典映像がある。1位はマラドーナの「神の手ゴール」。6位と7位には日韓大会決勝トーナメント1回戦の韓国対イタリア、8位と9位に準々決勝の韓国対スペインでの誤審が入っている。
7位とされたのは、1対1で迎えた延長前半13分の誤審。イタリアのエース・トッティが韓国のペナルティエリア内でDFともつれ合って転倒。PKと思われたが、主審はトッティのシミュレーション(故意に転倒する行為)を取り、イエローカードを出した。
前半のイエローと合わせてレッドカードとなり、トッティは退場になった。さらに延長後半5分、イタリアがゴールを決めたように見えたが、オフサイドの判定。これが6位とされた誤審だ。その後、安貞桓が決勝ゴールを決め韓国はベスト8に進出した。
トッティは怒りをぶちまけた。
「我々を負けさせようと、(韓国が)手を尽くしたんじゃないのか。審判を代えて、最初からワールドカップをやり直すべきだ」
続く準々決勝の韓国対スペインでは、FWモリエンテスの2つのゴールが誤審によってノーゴールにされ、韓国がベスト4に進出した。8位、9位の誤審である。
イタリア戦の主審バイロン・モレノ(エクアドル)は、日韓大会後、国内での試合で12分ものロスタイムを取り、負けていたチームが逆転。後にモレノは逆転したチームの地元から市議選に出馬した(ただし落選)。
疑惑の審判と韓国との何らかの関係を示すものはないが、度重なる誤審がなければ、韓国のベスト4がなかったことは確かだ。
※週刊ポスト2015年6月19日号