日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は5月25日、藤田光里プロ(20)に「厳重注意」、帯同キャディの大江順一氏(36)に12日間(2試合開催期間中)の「職務停止」処分を発表した。
理由は「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」のプロアマ大会(5月21日)に出場中の2人が、競技中に「大ゲンカしていた」というものだった。口論の後は大江氏のキャディ業務がおざなりになるなど、同伴したアマプレーヤーが、「ムードが悪かった」と協会に訴えたことを受けて処分が下された。
「原則、帯同キャディは選手の監督下に入るため、この件では藤田にも責任が生じる。キャディにだけ厳しい処分が下されたのは、同伴アマプレーヤーが“選手の態度は決して悪くはなかった”と証言したからですが、もともと協会が大江キャディを“要注意人物”と見なしていたからともいわれています」(ゴルフ誌記者)
伏線は処分からさかのぼること1か月前、4月26日に行なわれた「フジサンケイレディス」にあった。
最終ホールのバーディパットを決めてプロ初優勝を飾ると、藤田は涙を流しながら大江キャディの胸に一目散に飛び込み、大江氏が藤田を抱きしめて「よしよし」とその頭を撫でた。この行為に対して、LPGAの重鎮である樋口久子・協会相談役が激怒して、「キャディが選手を子供扱いしてはいけない」と、不快感を表明したのである。
選手とキャディが口論したり、抱き合って喜ぶことの何がいけないのかと首を傾げるファンも少なくないかもしれないが、実はこれ、今年から「ルール違反」となる可能性が出てきたのである。
LPGAのトーナメント規定にはキャディは「いかなる時でもエチケットとマナーを守り、他のプレーヤーに対して心配りを忘れない」とあり(第21条第20項)、今季から罰則が明文化された。違反した場合には選手に注意または罰金、キャディに職務停止または登録取り消しなどの処分が下される。大江キャディは、その適用第1号になったのである。
「明文化の背景には近年、女子プロ選手とキャディを含めた男性ツアー関係者との風紀が乱れていて、それに協会が神経を尖らせている事情があります。今回の藤田プロと大江キャディも、以前からその親密さが指摘されていて、“付き合っているのでは”と噂されていた。
大人の男女だから恋愛は自由ですが、ゴルフは狭い世界だけに、深い関係になりすぎて周りに迷惑をかけることがある。実際、今回もプロアマに呼ぶような大事なお客さんからクレームを出されてしまったわけですし……」(LPGA関係者)
※週刊ポスト2015年6月19日号