安倍政権と大メディアの癒着の象徴が、夜な夜な繰り返される高級レストランでの会食である。第2次内閣発足以来、報道で確認できるだけでも約60回も首相と大メディア幹部が夕食をともにしている。
会食のほとんどは都内の高級料理店での贅を尽くしたディナーだ。たとえば、喜多恒雄・日本経済新聞会長(当時は社長)と安倍晋三・首相は2013年3月に会食。場所は、東京・日比谷の帝国ホテル内の「レ セゾン」。1人当たりの平均予算が3万5000円という超高級フランス料理店である。
2013年12月には、赤坂のふぐ料理店「博多い津み」で読売新聞グループ本社会長の渡辺恒雄氏と首相が会食したが、同店も天然ふくのコースに少し酒を飲めば1人3万円は下らない。
安倍首相に金魚のフンのように付きまとう番記者たちも豪華ディナーの相伴にあずかっている。昨年10月10日、東京・赤坂の高級中国料理店「赤坂飯店」の個室には、内閣記者会(記者クラブ)に加盟する新聞・テレビ各社の官邸キャップが一堂に会した。名目は安倍首相を囲む「オフレコ懇談会(オフ懇)」だ。安倍氏の首相再登板以来、年に1回以上のペースで開かれている。
その席で安倍首相は意気揚々と政権の成果を演説し、記者は平均予算が1万5000円の豪勢な料理を楽しみながら拝聴した。出席者によると、こんな会話が交わされたという。
記者「今後の経済動向は?」
安倍「アベノミクスが効いて、株価はこれからどんどん上がっていくよ」
呑気なものだ。当時、実質賃金は14か月連続で低下し、円安で物価も上昇、国民生活は逼迫していた。それでも能天気な安倍発言の誤りを正そうとする記者は皆無だった。
※週刊ポスト2015年6月19日号