安倍晋三・首相とメディア幹部が、高級レストランでたびたび会食している。第2次内閣発足以来、報道で確認できるだけでも約60回も夕食をともにしている。安倍首相の番記者たちも豪華ディナーの相伴にあずかっている。
昨年10月、東京・赤坂の高級中国料理店「赤坂飯店」の個室には、内閣記者会(記者クラブ)に加盟する新聞・テレビ各社の官邸キャップが一堂に会した。名目は安倍首相を囲む「オフレコ懇談会(オフ懇)」だ。安倍氏の首相再登板以来、年に1回以上のペースで開かれている。
さる6月1日も、同じ「赤坂飯店」で官邸キャップ懇談が開かれる予定だったが、会の直前に町村信孝・前衆院議長の訃報が届いた。記者たちは懇談会は中止になると思っていたが、官邸から「予定通り開催する」と連絡が入ったという。
「驚きました。総理は到着するなりビールをぐいぐいとあおって、『オバマの俺を見る目が変わってきたんだよ』と上機嫌でした。しかも、秘書官に促されてようやく赤ら顔のまま町村さんの弔問に出かけていった」(出席者)
安倍首相にとって町村氏は党の先輩議員であるだけでなく、自身が所属する派閥の領袖でもあった。その弔問よりも子飼いの記者との酒席を優先するとは、いかに安倍首相がマスコミの“餌づけ”に熱心であるかがわかる。しかも、翌日の新聞にはそんなことは1行も書かれていないのだから、記者たちも忠犬に成り下がっているのだ。
※週刊ポスト2015年6月19日号