タレントやモデルにスカウトされるのを望む少女たちの熱意を利用した、悪質なスカウトマン逮捕された。とはいえ、有名芸能人にはスカウトがきっかけでデビューしたと語る人も少なくない。スカウトとはどのように街で行なわれているのか、危険なスカウトマンはどうやって見抜けばよいのか、地下アイドルでライターの姫乃たま氏がみずからの体験も交えてレポートする。
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2年ほど前のことですが、中野ブロードウェイの前で、誰もがきいたことがある大手芸能プロダクション社員を名乗る男性から声をかけられました。名刺をサッと一瞬見せただけで隠してしまい、あまりの怪しさに動けずにいると、「売れるためなら枕営業できますか?」という話になり、「技術を試したいので」と、個室に誘導しようとしてきました。私が渋い顔をして無言で立ち尽くしていると、「今夜は●●のライブに招待で入れてもらうから……」と業界人アピールを呟きながら去っていきました。
スカウトをしている人が、すべてこのように特殊で悪質なわけではありません。スカウトから業界に入ったというグラビアアイドルの方にも、たまにお会いします。テレビで見かける芸能人にも、デビューのきっかけをスカウトと話す人は多く、一概にスカウトが悪いとは言い切れません。しかし、冷静な判断力を欠いて、想像していたものと違う道に進んでしまわないよう気をつけなければいけません。若い女性というだけで、街中のスカウトと接触する機会は、つまり危険かもしれないことがあまりに多いのです。
渋谷や原宿から近い土地に生まれたせいか、スカウトされることが他の地方より身近な環境で育ちました。小学校の教室では、時々、女の子たちがスカウトについて話していました。華やかな世界を夢見て、どの子も目を輝かせていました。
かく言う私も、小中学生の頃は、スカウトされるたびに、じっとりとした目で相手を疑いつつも、やはり嬉しかったです。たいていは、すぐに忘れてしまう程度の嬉しさでしたが、何日か立て続けにスカウトされると、勘違いを起こして、芸能界に憧れました。しかし、先日もスカウトマンが逮捕されて話題になったように、スカウトされて大人しく付いていけば、そのまま華々しく芸能界入りできるというわけではありません。
そこで、私と家族は「お金をかけてくれる事務所に出会ったら所属しよう」と決めました。
誰彼構わず(例えば小中学生の頃の私とか)に、声をかけているような事務所の話は、レッスン料や、登録料など、とにかくお金がかかるのです。なかには、オーディション用の宣材写真を撮るだけで数万円という事務所も、ゴロゴロありました。所属タレントの芸能活動ではなく、彼女たちが払う登録やレッスンを受けるためのさまざまな「●●料」で運営している事務所が少なくないのでしょう。