7月いっぱいでフジテレビを退社することが明らかになった、松尾紀子アナウンサー(55)。松尾アナは1983年、慶應義塾大学文学部からフジテレビに入社。当時のフジと言えば、『なるほど!ザ・ワールド』の益田由美アナや『オレたちひょうきん族』の山村美智子アナがそれまでの女子アナ像を覆し、バラエティ番組で大活躍していた時代。そのなかで松尾アナは報道番組を担当。ほかの女子アナとは一線を画す存在だった。
フジテレビでは、今年2月に益田アナが同局女子アナ初となる定年退職となり、松尾アナが最高齢となっていた。
「女子アナ30歳定年説」が通説となっているが、実際、定年まで勤めあげる女子アナはほとんどいない。たとえば日本テレビの場合、1980年入社の井田由美アナが最高齢。その井田アナも2004年に報道局解説委員となり、2012年に復帰するまでアナウンス部を離れていた。その下は、1990年入社の豊田順子アナで、ほかの1990年代入社は森富美アナと延友陽子アナだけ。TBSは1987年入社の長峰由紀アナ、テレビ朝日は1993年入社の大下容子アナが最高齢になる。フジテレビ関係者が話す。
「他局だと、30代になると、他部署に異動したり、退職したりするケースが目立ちます。一方で、フジは女子アナに対して優しい局。結婚・出産で育児休暇を経ても、アナウンス部に戻って来られる雰囲気があるし、居心地がすごく良い。松尾さんは、アナウンス室の局次長まで上り詰めましたし、その象徴的な存在でした」
松尾アナは2児の母となっても他部署に異動することはなく、入社以来一貫してアナウンス部に所属した。“ママさんアナウンサー”の先駆けと言えるだろう。
「フジはベテランになっても、子供を産んでも、アナウンス部に残れて、若い頃のように遮二無二働く必要もない。実際、近年の松尾アナは画面に姿を現わす機会も少なくなりましたが、そこに局全体の余裕を感じたものです。でも今回、松尾さんが辞めてしまうことで、フジ全体に余裕がなくなっているようにも思え、なにか時代の流れを感じますね」(同前)