料理人を目指して田舎から上京した若者が、天皇の料理番を務め上げるまでに成長する─昭和の時代を駆け抜けた実在の料理人・秋山徳蔵氏(享年85)の一代記を描いたドラマ『天皇の料理番』(TBS系)。
「天皇の料理番」は普通のお抱えシェフとは異なる。天皇皇后両陛下の日々の献立管理はもちろんのこと、饗応や式典にどんなメニューを出すかによって政治や外交にも深くかかわる重大な責任も負う。
秋山氏の下、昭和天皇の料理番として仕えた和食料理人・谷部金次郎氏(やべ・きんじろう・68才)とフレンチシェフの工藤極氏(くどう・きわむ・63才)がドラマについて語り合った。
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谷部:ドラマは毎週見ていますよ。私が秋山さんとお会いしたのは晩年のときで、もう神様のような存在でした。ドラマを見ながら若い頃の秋山さんは破天荒だったんだな…など改めてスケールの大きさを感じます。
工藤:ぼくは秋山さんを特集していた新聞記事を読んで、どうしても、この世界に入りたいと思ったんです。
秋山さんは大正期から昭和期にかけて58年間宮中に仕えた、日本のフランス料理界の神様のような人でしたから。学習院の教諭をやっていた父親に頼んで宮内庁に紹介してもらったんです。
谷部:実は私の面接を担当したのが秋山主厨長です。フレンチを極めた秋山さんが、年齢を重ねて和食を好むようになった陛下のために還暦を過ぎてから板前修業をしたのは有名な話ですが、天皇の料理番としての原点を教えていただきました。
〈ドラマで主人公の秋山氏を演じるのは佐藤健(26才)。谷部氏も工藤氏も本人に直接会う機会があったという。〉
工藤:佐藤さんの料理の手つきを見ているとかなり練習を積んでいることがわかります。 撮影前の昨年8月から料理学校で修業したそうです。ぼくのお店にも来てくれましたが、ほとんど会話せずに彼はずっとぼくの料理の手つきを見ていました。
谷部:私は『金スマ』で共演したのですが、お話をして謙虚で前向きで本当の料理人と話しているような気がしました。中居さんとぼくのトークを聞いて、秋山さんの偉大さを実感し、“身が引き締まる思いです”と言われていました。
※女性セブン2015年6月25日号