万年Bクラスと言われ続けた横浜DeNAベイスターズが、ウソのような快進撃を続けセ・リーグの首位争いを続けている。オレたちは格下だけど巨人に一泡吹かせてやるという中畑清監督の気概が、チームを活性化しているようだ。巨人の現役時代から中畑監督と親しい元報知新聞記者の柏英樹氏は、こう分析する。
「巨人にいた中畑監督は、“選手に負けたら大変だという気持ちが生まれるのは満員の客席から”と知っている。だからこそファンサービスに積極的だし、どんなにみじめな負け方をしても囲み取材に応じて、ファンに来てもらうよう努力している。そうした姿勢を貫いているのは、12球団の中で中畑監督だけです」
野球評論家の山崎裕之氏も同じ意見だ。
「とにかくムード作りがうまいよね。例えば“お前に任せた”というセリフ。よく耳にしますが、口先だけでも選手は嬉しく、意気に感じるものなんですよ。ベンチから一番先に飛び出して喜怒哀楽を表に出す。時には歯に衣着せぬ形で選手を叱咤するが、陰で色々いわれるよりよっぽどサバサバするから、選手はやりやすいと思いますよ」
昨年までは試合展開ですぐにゲームをあきらめるようなところがあったが、今年は逆転勝ちや1点差逃げ切り勝ちが多いのも、中畑監督の求心力による面が大きいと山崎氏は見る。
「采配にブレがない。ブレないから負けても悔いは残らない。継投も迷いなくできる。このまま夏場を乗り切れれば、面白いことになりそうです」
この先、中畑ベイスターズが優勝を勝ち取る条件があるとすれば何か。横浜OBで、1998年の優勝メンバーでもある駒田徳広氏はこういった。
「オールスターまでに、2位に5ゲーム差以上つけておきたい。それだけあれば、疲労が出てくる夏場にも余裕をもって戦えるはず。勢いが落ちてきた時に、どう開き直れるか。今年がダメなら来年がある、くらいの大きな気持ちの切り替えも必要でしょう。
それと巨人OBとして一つ中畑監督に忠告したいのは、最後の最後で、“ここで巨人なら……”という思いを持ってはダメということ。中畑監督の性格からして、そこは心配ないと思いますけどね」
※週刊ポスト2015年6月19日号