中国軍の制服組トップを経験した郭伯雄・元中央軍事委員会副主席の失脚が確実となった。中国とベトナム国境の中国雲南省・老山頂上にあった中越紛争の激戦地での中国軍勝利を記念して建てられた郭氏の記念碑が突然、前触れもなく撤去されたのだ。
実は老山には、すでに汚職などで逮捕、起訴されていた徐才厚・元中央軍事委副主席(今年3月、がんで死去)の記念碑も建てられていたのだが、これも徐氏の逮捕前に撤去されている。この前例から、郭もすでに身柄を拘束され、逮捕は秒読みとの見方が強い。
米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「博訊(ボシュン)」が「特ダネ」として伝えた。
この郭氏の記念碑は2002年3月、老山の激戦地を視察した際に建てられたもので、「中央軍事委員会副主席 郭伯雄上将 二〇〇二年三月」などと書かれていた。
この老山は1984年、中国軍とベトナム軍の大激戦地で、劣勢だった中国軍がほとんど唯一といってもよいほど勝利した場所だけに、中国軍としては非常に重要なところと言ってよい。
このため、老山の一角に「将軍林」という記念館を建設し、中国軍の奮闘を描いた巨大なレリーフも造ったほどで、郭氏や徐氏ら当時の将軍100人以上が手ずから1本1本植林をしたというエピソードも残る。
ところが、徐氏が逮捕される前に徐氏の記念碑は撤去。その後、徐氏が3月に死去するものの、いまも軍機関紙「解放軍報」などは「徐才厚の罪深き人生が終わった」「死んでも罪は消えない」などと徐氏を批判し続けているほどだ。
今回の郭氏の記念碑も突然撤去されたことで、「郭伯雄は徐才厚と同じ道をたどるだろう」と前出・博訊は報じており、その命運は風前の灯火と言っても過言ではないだろう。