「家賃が相場と比べて半額」「部屋の一部分だけリフォーム」「物件名が『○○マンション』から『△△ハイツ』になった」――そうした物件は、何らかの事件や事故のあった「事故物件」の可能性が高い。「事故物件」とは、どんなものなのだろうか。霊感体質といわれ、超怖がりの本誌記者A子(30代)。上司の命令で事故物件探しにイヤイヤ奔走した。
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最初に訪れたのは、賃貸住宅を供給している独立行政法人UR都市機構だ。ここでは「特別募集住宅」として事故物件を紹介している。都内某所の営業センターを訪ねてみた。窓口担当の女性に「23区内で特別募集住宅を探している」と相談すると、「23区内は現在ありません。人気が高く、すぐになくなってしまうんです」と、驚いたことにかなりの人気ぶりのようだ。
それもそのはず、住居期間は1年と決まっているが、家賃は一般住宅の半額だという。そこで東京都郊外の1件を紹介してもらった。新宿からJRで約20分、駅からバスで10分ほどのマンションだ。2003年築、1DK46平方メートル、床暖房つきで、月4万7100円だという。
「どんな事故があったんですか?」と質問すると、担当者は笑顔で「告知の義務がありますからね」と言いながら、ファイルを取り出した。
「70代の男性が病死されています。トイレやバス、ベランダで亡くなった場合はその場所の記載がありますが、それがないので、部屋のどこかで亡くなられたのでしょう。脱衣室がリフォームされているので、そのあたりで亡くなったのかもしれません」
まるで銀行の窓口の手続きのように淡々と話す。担当者のすすめもあり、その物件の内見を翌日に決めた。彼女は最後にこんなアドバイスをくれた。
「霊感は強いほうですか? 幽霊を見たとか、そういう話は聞かないんですけど、あまり霊感の強いかたにはおすすめできませんね」
ええ! 何そのアドバイス! しかも笑顔で…。ドタキャンしたかったが、仕事だから仕方ない。翌日、現地へ向かった。着いてみると、その不安は嘘のように解消された。
8階建てマンションの3階で、廊下とキッチン、ダイニングはフローリング。白を基調とする清潔感たっぷりの物件だ。現場と思われる脱衣室も、築数年のよう にきれいだった。宅配ボックス、浴室乾燥機、エアコン、床暖房までついて、本来月9万4200円のところが4万7100円。
全く気持ち悪さなんかなく、これなら人気なのもうなずける。少し住んでみたいかもと思ったが、担当者の「あまり霊感の強いかたにはおすすめできません」という言葉がやっぱり気になった…。
次の事故物件は、神奈川県某所の一戸建て。「事故物件・訳あり物件情報センター」の運営元・一般財団法人住宅再生支援協会に紹介してもらった。
「3階建て一戸建てで4LDK。土地の広さは78平方メートルです。1380万円するところ、680万円で売っていましたが、昨年から580万円に値下げしました」(安達賢太広報担当理事)
数年前に起こったある殺人事件の現場だという。買い手がいないため、いまだリフォームしていない。最寄りのバス停から徒歩約5分。この日は晴天のため汗だくで向かう。ようやく到着して、玄関について仰天した。
ドアの一角には盛り塩が置かれている。家の中に入ると、ホコリやカビのにおい。ベビーカーや割れたマグカップなど生活感が残ったままだった。殺人現場には、香炉とろうそく…。背筋がゾクゾクしてきたので内見を終えた。
「購入希望者のかた、ごみ処理費用などのご相談承ります」(安達さん)
とのこと。本誌記者に事故物件はハードルが高いようでした。
※女性セブン2015年6月25日