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MERS「韓国以外の感染ルートこそが危険」と専門家が警鐘

 MERSコロナウイルスが隣国・韓国で猛威を振るっている。5月20日に最初の感染者が確認されて以来、現在までの死者は16人、感染者は150人にのぼる(6月15日現在)。

「MERSの正式名称は『中東呼吸器症候群』といいます。2012年に中東のサウジアラビアで発生しました。ヤマコウモリからラクダを介して人間に伝わったといわれています」(関西福祉大学大学院社会福祉学研究科教授で医学博士の勝田吉彰さん)

 潜伏期間は2日から14日間と幅広く、5日間前後が最も多いという。初期症状は発熱、せき、息切れなどで、風邪とほとんど変わらない。だが、そのまま放置しておくと呼吸障害を伴う重症の肺炎になって、最悪の場合、死に至る。

 風邪の症状と変わらないため、診断が難しいのが特徴だ。韓国の最初の感染者は、中東のバーレーンから帰国した68才の韓国人男性だった。男性は、高熱のため、ソウル郊外の病院に入院した。病院側は、MERSと気づかずに一般の病室に入院させてしまったため感染が拡大してしまった。

「有効なワクチンや治療法はまだ見つかっていません。これまでのデータでは、致死率は約4割です。SARS(重症急性呼吸器症候群)の致死率は約1割なので、その4倍に及びます」(勝田さん)

 WHOによれば、ウイルス発覚から3年間で世界で1289人が感染し、455人が死亡している。致死率4割という恐るべき病気の感染をいったいどうやって防げばいいのか。

「飛沫感染するので、インフルエンザや風邪と同じような予防法をすることです。咳エチケットを徹底して、人込みにはなるべく行かないようにしましょう。外出時はマスク着用を忘れずに」(勝田さん)

 帰宅したら、石鹸できちんと手洗いをする。ドアノブやスイッチ、ハンドルなど、他人が触る箇所を可能な限り消毒することも大切だ。

 日本から韓国への観光客は年間228万人(2014年)もいる。韓国からMERSが日本に上陸する恐れもありそうだが、勝田さんはこう言う。

「日本は空港や港湾など、出入国ルートでの水際対策を強化しています。厚労省は都道府県にMERS発生時の対応を通達するなど緊張状態が続いていますし、韓国自体も警戒態勢をとっています。つまり、韓国のような感染拡大は防げる可能性は高いといえるでしょう」(勝田さん)

 その一方で「韓国以外からの感染ルートが危ない」と警鐘を鳴らすのは、感染症に詳しい『新ゆり内科』の高橋央院長だ。

「韓国ではなくて、中東からMERSが入ってくる可能性が高い。韓国の場合、韓国自体も厳戒態勢をとっていますが、中東の国すべてがそういうわけではない。もしかしたらすでに入っている可能性すらあります。最近、中東方面に行かれたかたは必ず保健所、専門の医療機関にまず電話で相談してください」

※女性セブン2015年7月2日号

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