うっとおしい夏が近づいてくると、体調を崩したり、なんとなく元気がなくなったり…。乗り越えるためには腸内環境を整える「菌活」に注目! 腸を整えることで、ダイエット、美肌、免疫力アップ、脳活性化、夏バテや疲労臭の予防など多方面にわたって良い効果が表れるといわれている。
「腸は『第2の脳』と呼ばれるほど神経細胞が集中しています。また免疫細胞の約6割が、腸に集まっている『免疫器官』でもあります。腸内環境を良い状態に保つことは、健康を保つ上でとても大事です」
医学博士で管理栄養士の本多京子さんは、腸内環境が悪化すると、消化吸収不良によるスタミナ不足や免疫機能の低下を招くと話す。
「便秘などで老廃物が溜まれば、肌荒れが起きるだけではなく、疲労臭が発生することもあります」(本多さん、以下「」内同)
疲労で肝臓の代謝が低下すると、エネルギーを消費する過程で生じるアンモニアの分解が追いつかず、汗などからアンモニア臭い「疲労臭」が出る。さらに便秘が続くとアンモニアの発生量が増加してしまう。
腸内環境を改善する方法として知っておきたいのが「菌活」だ。「菌=きのこ」や乳酸菌など体に有益な菌や、その菌が作る発酵食品を意識的に摂る習慣として近年、注目されている。
「私たちの腸内にすむ善玉菌を増やすには、『菌活食材』のほかに、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などの『菌育食材』を摂る必要があります。きのこは、『菌活食材』でもあり、食物繊維が豊富な『菌育食品』でもある一石二鳥の食材です。オリゴ糖を含む食材には大豆、根菜、たまねぎ、バナナ、牛乳などがあります」
では、自分は日常的にどのくらい『菌活食材』を取り入れているのだろうか? 気になる人は、以下の「菌活度」チェックで当てはまるものをカウントしてみよう。
□ブナシメジやマイタケ、エリンギなどのきのこ類をよく食べる。
□ヨーグルトやナチュラルチーズを毎日食べる。
□納豆、味噌、塩麹、お酢などの発酵食品・食材を毎日食べる。
□豆類や根菜類、海藻類、果物を毎日食べる。
□外食や市販の弁当で食事を済ますことは少ない。
□便秘または下痢気味ではない。
□吹き出物や肌荒れになることは少ない。
□血圧や血糖値は正常値だ。
□規則正しい時間に食事を摂っている。
□運動はよくするほうだ。
【チェック0~3】『菌活初心者』
健康を目指す人も、自分の体調が気になる人もまずは手軽にできることからチャレンジを!
【チェック4~7】『菌活実践者』
意識して菌活に取り組めている。さらに菌活食材を料理に取り入れ、菌活を習慣化しましょう。
【チェック8~10】『菌活マイスター』
かなり菌活している。一歩進んだ菌活のため、一工夫した菌活料理なども身につけよう!
ただし、菌活といっても、ただ多く摂ればいいというものでもないという。
「一度に大量の菌を食べても、腸内環境は急には改善しません。食事で摂った菌は排出されるので、長い目で『菌活』をしたいですね。腸内環境は、食事内容や運動不足、ストレスなどの影響を受けて変化するので、毎日バラエティーに富んだ食品を摂る『菌活』がおすすめです」(本多さん)
菌活による体調管理は、生活の知恵。伝統食品のなかに「菌」は意外とたくさんある。「菌活」に役立つ主な菌は、菌そのものである「きのこ」、ワイン、ビール、日本酒、味噌、醤油、パンなどの「酵母菌」、納豆の「納豆菌」、ぬか漬け、キムチ、チーズ、ヨーグルト、なれ鮨などの「乳酸菌」、米酢、りんご酢、ワインビネガー、バルサミコなどの「酢酸菌」、青・白カビチーズ、本枯節などのカツオ節、日本酒、味噌、醤油、甘酒、塩麹などの「麹菌」などだ。
実際に自分がどのくらい「菌活」できているか知り、生活に取り入れたいのが「菌活実践プログラム」の3ステップだ。
主菜や副菜に菌活食材(きのこ類、納豆、ヨーグルト、ナチュラルチーズ、キムチなど)を食べたら1メニューにつき2点とカウントし、調味料などで使用するもの(酢、味噌、醤油、みりん、塩麹、カツオ節、甘酒などが使われているメニュー)を1メニューにつき1点とカウントする。ただし、減塩を心がけること。その上で、毎日の菌活度を「ちょっと菌活」、「がんばって菌活」、「がっつり菌活」の3ステップで把握する。
【入門編】
毎日の健康維持やダイエットに役立てる「ちょっと菌活」は、1日に1~3点。
【応用編】
さらなるダイエットや便秘や美容対策に「がんばって菌活」は、1日に4~6点。
【発展編】
腸内環境を保ち、イキイキ健康生活に「がっつり菌活」は、1日に7点以上。
腸内の善玉菌を増やすための「菌活」は、毎日継続することが大事。「菌活食材」や「菌育食材」をカウントするだけ。毎食、菌活を意識すれば、すぐに3ステップをクリアできる。
チーズやヨーグルトといった身近な食材を活用すれば良く、また味噌や醤油など普段使いの発酵調味料を意識するだけだから、誰でもすぐに取り組める。とくにきのこの活用は、髪や肌の調子を整えるビタミンBが豊富で、カロリーが低く、うまみによって減塩調理ができるというメリットもある。
「女性に多い便秘などは、腸内環境が悪化しているわかりやすいサインのひとつ。便秘の予防や、美肌、ダイエットなど、ニーズに合わせて菌活実践プログラムに取り組んでみてください」
そこで、この夏おすすめの「菌活」レシピをご紹介しよう。
【たまねぎときのこのマリネ】
エリンギ、白いシメジ各100g(約1/2パック)、たまねぎ適量、白ワイン大さじ2、水大さじ2を小鍋に入れ、ふたをして火を通す。市販のドレッシング大さじ4、もしくはサラダ油大さじ3、ワインビネガー大さじ1、マスタード小さじ1、塩小さじ1/2、こしょう少々を合わせたマリネ液であえる。
【きのこのヘルシーハンバーグ】
マイタケ100g(約1/2パック)、あいびき肉300gに塩、こしょう、溶き卵を加えたきのこハンバーグをフライパンで焼く。エリンギとブナシメジ各100gに醤油、みりん、水、水溶き片栗粉を加えてひと煮立ちさせて整えたきのこソースをかける。
(材料はいずれも4人分)
美容にも健康にも役立つ「菌活」にこの夏こそチャレンジを!