2004年にサプリメントが発売されたときは、品切れ店が続出したコエンザイムQ10。今では若々しさを保つ定番の成分になりつつある。皮膚内のコエンザイムQ10は20才を過ぎると減少し、70代になるとピーク時の3分の1程度になる。「最近、摂ってないかも…」という人は再注目。
抗酸化力が高く、エイジングケアの味方として知られるコエンザイムQ10。美容効果に注目が集まりがちだが、実は人間が生きるためになくてはならない重要な物質だ。
「人間が生きるためのエネルギー『ATP(アデノシン三リン酸)』は、細胞内のミトコンドリアで作られています。コエンザイムQ10はミトコンドリアの中でATPが作られるのを助ける役割を担っています。ですから、コエンザイムQ10は人間に欠かせない物質のひとつといえます」と、コエンザイムQ10の抗酸化作用に関する研究の第一人者である東京工科大学教授の山本さんは語る。
コエンザイムQ10を補うと、酸化を防ぐことで肌老化をストップし、肌に透明感とハリも戻る。また、顔以外でもボディーがしっとりするなどの効果を実感する人も。一方、コエンザイムQ10が不足すると、肌老化の大きな要因となる肌の酸化が進む。コエンザイムQ10の不足はしわ・シミ・たるみの進行を招き、肌のくすみや肌荒れが目立つようになる。
美容だけでなく、健康面にも効果が期待できる。例えば、認知症の予防。血中のコエンザイムQ10の濃度が高い人ほど、認知症にかかるリスクが低くなるといわれている。耳も遠くなりにくい。活性酸素を抑え、高齢者の半数以上がかかる老人性難聴を予防する。また、肌を若々しく保つ。活性酸素による皮膚への酸化ストレスを抑え、しわ・たるみが増えるのを抑えたり、シミが濃くなるのを抑える効果がある。酸化反応により引き起こされるストレスを抑制することで筋肉疲労が減少し、疲れにくくなるなどだ。
美や健康のために活躍するコエンザイムQ10だが、加齢や生活習慣によって減少していく。
「日本人は1日の食事からおよそ5mgのコエンザイムQ10を摂っていますが、45才以上なら100mg程度摂取することをおすすめします。摂ることで細胞が元気になり、エネルギーが多く作られるので、体が若返ったように感じ、気持ちも前向きになる人が多いようですよ」と、話すのはコエンザイムQ10の研究を続け、製品も多く手がける『カネカ』のQOL事業部の佐治大介さん。
前出の山本さんは、10年以上コエンザイムQ10をサプリメントで補っているという。
「摂り始めて以来1度も風邪をひいていないのがうれしいですね。日本人の寿命は世界トップクラスですが、介護を必要とせずに生活できる健康寿命は男性で9才、女性では13才短くなります。コエンザイムQ10はこのギャップを縮め、元気な体で長く生きるのに役立つ成分だと思います」(山本さん)
効果的に摂るタイミングや目安の量はどのくらいだろうか。
「1日100mgを目安に摂取を。コエンザイムQ10は脂に溶けやすいので、油分を食べて吸収力が高まる食後に摂るのがよいでしょう。また、摂取して一週間すると血中濃度が上昇し、摂るのをやめると一週間で元に戻ってしまうことがわかっています。毎日欠かさず継続して摂ることが大切です」(山本さん)
また、どのように補うのがいいか、佐治さんに聞いた。
「コエンザイムQ10は食品からも摂取でき、特にいわし、豚肉、オリーブオイル、チーズなどに多く含まれています。しかし、いわしだけで100mg補おうとすると20匹も食べなければなりません。サプリメントなどで補うのが効率的です。
コエンザイムQ10には酸化型と還元型があります。酸化型は摂取後、還元型に変換され体内で使われますが、この変換する力は加齢とともに弱くなります。ですから、効果を感じにくい人は、還元型になったサプリを摂取してみることをおすすめします」(佐治さん)
美容のプロも摂り続けているコエンザイムQ10。肌や髪にダイレクトに効かせるテクニックについて、江戸川大学客員教授でビューティ・ジェネラリストの寺山イク子さんに教えてもらった。
「サプリメントをのんでも、効果が肌や髪にまで行きわたるには時間がかかるように感じます。ですから、サプリメントなどの内からのケアに加えて、コエンザイムQ10配合のコスメで外側からダイレクトにケアするという方法も。相乗効果となって、更なる抗酸化作用が期待できます。
化粧品を選ぶ際のポイントは、パッケージの裏などになる成分表示のチェック。順番が先に書かれているものほど全体の中での配合が多いので、コエンザイムQ10が何番目に表記されているかが目安になります」(寺山さん)
バテがちな夏がやってくる前に、今のうちに体の内外から摂取して、ツヤ肌と髪、そして疲れにくい体をゲットしたい。