女性の年金にとって最も大きな落とし穴が「加入していたはずの第3号被保険者に“未加入”と記録されている」ことだ。もちろんその未加入分で年金受給額が大幅に減ってしまう。
サラリーマンの妻(専業主婦)であれば保険料を納めなくても国民年金に加入できるのが「第3号被保険者」制度。ところが、会社員の妻だったのに実際は加入できていなかった人が続出し、「第3号の空白期間」は長年の社会問題になってきた。
10年以上前の時点で、少なくとも150万人の女性に第3号の空白期間があったことがわかっているが、それもまだほんの一部にすぎないという。「年金博士」こと、北村庄吾氏(社会保険労務士)はこう指摘する。
「人生一生サラリーマンという人が多い男性に比べ、就職・結婚・出産・退職・再就職など、人生でさまざまなターニングポイントを経験する女性の年金加入歴は複雑です。
だから、驚くほど女性の年金記録には“抜け”が多い。年金事務所に電話したり、窓口に行くことで、自分の加入歴をとことん確認することが絶対に必要です」
そもそもなぜ空白期間が生じるのか――。
それは会社員の妻だからといって、自動的に第3号に加入できるわけではないからだ。自分か、もしくは夫の会社が届け出なければ加入できない、不親切な制度なのである。
原則的には会社が申請することになっているが、届け出が数か月遅れて、その期間が空白になっていたり、そもそも会社が申請し忘れたままのケースもある。
「特に、夫が転職した人は要注意です。夫が前の会社を退職すると、一時的に夫は厚生年金から外れ、国民年金の加入者になります。すると、その妻も第3号から国民年金に移る。その後、夫は再就職すると自動的に厚生年金に復帰しますが、妻は申請しないと第3号に移れないので、国民年金のまま。そのまま気づかずに放っておくと、国民年金の未納者として扱われてしまいます」(北村氏)
※女性セブン2015年7月2日号