巨人を率いて通算12年に及ぶ原辰徳監督に今季限りで辞任の憶測が流れている。早くも球団内外では、次期監督の名前が取り沙汰されている。松井秀喜氏や横浜の中畑清監督、中日の落合博満GMの名前も挙がっている。それに加え、桑田真澄氏、江川卓氏、川相昌弘ヘッドコーチも候補に目されている。
候補はまだいる。川相氏とともに1980年代の巨人を支えたメンバーだ。まずは1984年から主力として活躍した吉村禎章氏。
「1998年に引退してから一軍コーチを務め、2006年には二軍監督に就任して坂本勇人らを育てた。女性問題が報じられてチームを去った経緯がありますが、もう禊(みそぎ)は済んだという声がもっぱらです」(スポーツ紙記者)
もう1人は、長嶋茂雄元監督をして天才といわしめた篠塚和典氏。首位打者2回、ベストナイン5回を誇り、引退後は一軍打撃コーチをはじめ、守備走塁、総合コーチなどを歴任した。
「実績やキャリアを考えても、なぜこの人が球界でスポットライトを浴びないのか不思議なくらい。かつては“原ファミリー”の一員だったが、現在は外れていることがプラスに働くかもしれない」(同前)
一方、今の巨人が最も求めているのは「若返り」だという声も強い。
「その点で注目されるのは、今年から打撃コーチ兼任となった高橋由伸。新しくGMになった堤辰佳氏と同じ慶大卒であることから、有力候補の呼び声が高い。今や残り少なくなった巨人生え抜きの筆頭です。また、阿部慎之助も同じく候補の1人には間違いない」(同前)
人気もあり、ファンの抵抗も少ない。かつての長嶋氏のように引退後即監督という道もあるだろう。だが巨人OBの広岡達朗氏は、巨人の監督についてこう語った。
「この球団は特殊で、フロントに頼めば色々な選手を獲ってくれる。だから育てるということをしない。誰が候補であってもいいから、まずは二軍監督になって選手を育てることをやってほしい。若い選手と一緒に苦労して、一軍のコーチやヘッドコーチを経て監督になる。それが王道というものです」
球界の盟主の船頭は誰が務めるのか。それとも名将・原の続投となるか。早くもその行方が注目される。
※週刊ポスト2015年6月26日号