欧米ではコレステロール値の低下や血糖値の上昇を抑えるなど健康に対しての効果が認められ、日本でも話題となっているのが大麦だ。
「大麦には食物繊維が豊富なのですが、なかでもβ-グルカンという排便を促す水溶性の食物繊維が多いところがポイントです。便秘を改善し、腸内環境を整えるほか、肌トラブルなどにも効果的。しかも、β-グルカン自体には腸の免疫力を高める働きがあるともいわれています」
そう解説するのは、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の濱裕宣さん。同病院では、約1年前から病院食にも毎日大麦を取り入れている。
もともと慈恵大学病院の創始者(医師の故・高木兼寛さん)が、大麦をご飯に混ぜて食べることで、世界ではじめて脚気の撲滅に成功したという縁があり、以前から月に数回は病院食でも大麦を出していた。
さらに昨年からは、毎日、昼食に大麦を使った料理を提供するようにしたところ、患者から便通がよくなったといった声が多く聞かれるようになったという。
大麦に含まれるβ-グルカンは、脂肪の吸収を抑え肥満を解消したり、食後の血糖値の急上昇を防ぐため、糖尿病の血糖管理にもおすすめだ。
「セカンドミール効果といって、例えば朝食に大麦を食べると、昼食のときも血糖値の急上昇を抑える作用があります。ほかにも心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす動脈硬化は、高コレステロールや高血圧によって促進されますが、それらを抑える効果もあるのです」(濱さん。以下、「」内同)
大麦は、麦ご飯にするのがてっとり早い食べ方。米7対大麦3程度の割合が基本で、白米をといで通常通りに水加減をしたら、そこに大麦と、大麦の2倍の水を加えるのがポイント。例えば大麦60gなら水120mlを追加するのだ。
また、単独で20分程度ゆでた大麦を小分けにして冷凍保存しておけば、スープやサラダなどにもさっとプラスして利用できるので便利だ。
「大麦は、白米とは違ったプチプチとした食感なので、自然とよくかんで食べるようになります」
食べすぎ防止にもなるのもうれしい。
※女性セブン2015年7月2日号