学校、塾、習い事への子供の送迎など、タクシーで“子育て”を支援するサービスが拡大している。子供一人でも送迎するサービスから、玄関先までベビーカーや荷物を運ぶサービス、夜間の急な発熱などのトラブルに対応するサービスまで。子育て世帯の移動をタクシーが支えようと、各社、サービス強化に乗り出している。とりわけ共働き世帯や、交通の不便な地方にとって、心強いサービスのようだ。
日本交通の「キッズタクシー」は、専任ドライバーのみが対応する。子育て経験者、保育士、普通救命講習、救急救命法メディック・ファーストエイド(略称MFA)小児MFAプログラムなどの資格者らだ。顔なじみのドライバーとなることで、子供一人乗車の不安感を軽減する。予約制で、学校や塾までの送迎はドアtoドアで行い、運賃は4650円+キッズチャージ620円。1時間を超えると30分ごとに2420円の追加となる。定期検診や里帰りなどにも対応する。
国際自動車は女性ドライバー(ホスピタリティ・アテンダント)による送迎同行サービス「リラクシー」を展開している。料金はメーター制だが、予約料金と送迎料金(各410円)が別途かかる。この送迎同行サービスは、子供のみならず、高齢者の買い物や病院への送迎なども対象にしている。
日本交通の「キッズタクシー」を、小学6年生の娘の塾の送迎に週2回利用しているという都内在住の30代女性はこう語る。
「行きは学校から塾まで、帰りは塾から自宅まで。顔なじみのドライバーさんなので安心です。料金は安くはありませんが、共働きで、近くに親もいませんから、他に方法がないんです。娘はタクシーの中で、人目を気にせず宿題や食事ができるから、効率がいいと言っています」
一般社団法人全国子育てタクシー協会(全国28の都道府県が加入)が認定する「子育てタクシー」は「じわじわと利用が増えている」という。実際にどのような需要が多いかを聞いた。
「都市部では、お子さん連れの外出をサポートする『かんがるーコース』が、地方では、お子さん一人の通園・通学・通塾などを安心・安全に送迎する『ひよこコース』の利用が目立ちます。また、陣痛時の送迎『こうのとりコース』の予約登録は、ここ数年激増していますね」
子育て支援を目的としたタクシーサービスは2011年頃から登場している。ハイヤー・タクシーの収益はここ数年、減少傾向が続いており(「ハイヤー・タクシー年鑑2015」)、とりわけビジネス需要が低迷していることから、新しい需要の開拓が急務となっていた。子供送迎のほか、最近では「観光」「介護」向けのタクシー市場も伸びている。