テレビ通販の神様といえば、この男だ。ジャパネットたかた創業者・高田明氏、66歳。会社は絶好調にもかかわらず、今年1月、社長の座を、息子・旭人氏(36)に譲った。その真意を、佐野眞一氏が聞いた。
──最近、大塚家具の“お家騒動”がありましたね。どう思われましたか。
「コメントしにくい質問ですね(笑)。創業者に対してはやはり応援したいですよ。でも、娘に任せると決めたら、その思いをどこかで断ち切る必要があると思います」
今年1月、高田は66歳で社長を退き、長男の旭人にその座を譲った。
「今まで私が100パーセント正しいと思っていたことが、2割、3割と若い人の意見が入ってくるようになった。それが社長を引退した理由です。私が75とか80になっても社長をやっていたら、退任したとき会社はどうなっているかわからない。アドバイスできるうちに交替した方が、時代の変化に対応できる会社になるんじゃないでしょうか」
その言やよしである。ただ惜しいのは、一度聞いたら絶対忘れられないあの甲高い声がブラウン管から二度と聞こえなくなることである。
※SAPIO2015年7月号