最近、なにかと世間を騒がせているキーワードといえば「品薄」だ。予想外の売れ行きで品切れ状態になる場合や、なんらかの問題が発生して出荷停止になるなど、その原因はさまざま。不思議なもので、“手に入らない”と思うと、急にほしくなる。でも、品薄だから容易に手に入らない…そんな“プレミア商品”をネットで検索すると、そこには元値の2~3倍、なかには10倍以上の高値がついたものが続々と出てくる。
例えば、昨年12月の異物混入騒動から約半年ぶりに販売再開された『ペヤングソースやきそば』。まずは関東での限定発売となったが、発売から5日後、ネット上では通常価格の3倍近い価格(通常なら1パック140~160円が、450円近く)で売り買いされていた。
子供たちの間で一大ブームになったキャラクター『妖怪ウォッチ』のおもちゃが昨年8月、店頭販売価格の5倍で売られていて、問題になった。
また、昨年12月、東京駅限定で販売された『東京駅開業100周年記念Suica』は販売予定枚数1万5000枚に対し、予想を超える人が集まった。その行列は東京駅を囲み、販売開始から1時間も経たないうちに9000枚以上売れるほどの超人気。そして、それはすぐさまネット上で転売されたのだ。販売価格2000円の記念Suicaに、なんと20万円以上の値がついたケースもあった。
手に入りにくい商品を元値よりも高い価格で販売して、儲けを出す。それこそが「転売」といわれる商売で、その商売をしている人は「転売屋」と呼ばれる。転売屋が扱う商品は多岐にわたり、前述したような、食品や限定グッズのほかに、飲料水や家電、人気アーティストの公演チケットなど、さまざまだ。しかし、やみくもに商品を買っても、儲けが出るかどうかはなかなかわからない。転売屋は、どうやって“売れる商品”を見極めているのか。
『月10万円ラクに稼げる「ネットせどり」入門』(日本実業出版社刊)著者の浅井輝智朗さんが説明する。
「需要が高まる商品を見つけます。○○個限定発売など市場に数が多く出回っていないものや、発売場所が限定されているものなどが代表的な例です」
そうした儲かる商品を仕入れるため、転売屋は日々情報チェックを欠かさない。
「品薄商品などを事前に見抜くことはなかなか難しい。だからニュースで“品薄”と聞けば、すぐ買いに行くんです。その騒ぎが大きくなったとき、買っておいた商品が高値で売れます。普通の人なら、『品切れなんだ、ふ~ん』と見過ごしてしまうことを、『高値になるかもしれない』と動き出す。家電などは、タイムセールや期間限定で安く売られているもので人気が高い商品を手に入れておきます。今はアプリで“ネット価格”がわかるので、売りに出したらいくらくらいの値がつくかを調べてから購入します」(浅井さん)
月に数百万円単位で儲けることもできる転売は、今や“稼げる副業”としても注目されている。しかし、「転売は法に触れる可能性が高い」と指摘するのは弁護士の長瀬佑志さんだ。
「自分が使うために買ったけれど不要になったものや、自分が作ったものを他の人に売るのはいいのですが、他人から買い取った物を転売するなどの場合には、『古物営業』の許可が必要です。それがないと、100万円以下の罰金や、3年以下の懲役などの罰則を受ける可能性があります。
しかし、そこまで厳しく取り締まられていないのが現状。転売で摘発されている中で多いのは、人気アーティストのコンサートチケットや、すぐに売り切れる寝台列車の乗車券など、チケット類を転売する行為です。それは、“ダフ屋行為”とみなされ、各都道府県の迷惑条例違反にあたります」
ちなみに、前出・浅井さんは「古物営業」の許可を得たうえで“転売”で利益を出す。
※女性セブン2015年7月2日