数々のタイトルを制し、現在、テニス世界ランキング1位に君臨するノバク・ジョコビッチ選手。自ら「変化の鍵」と称する食事法を公開した、『ジョコビッチの生まれ変わる食事』(三五館)も話題だ。
この本によると、彼は以前、試合中に体調が急変し、棄権せざるを得ない状況に何度も陥った。それが、「グルテンフリー」、すなわち小麦を摂らない食事に変えたことで克服でき、ついには夢であったウィンブルドン制覇を成し遂げたのだ。
ではいったい、“小麦断ち”の何がよいのだろう。グルテンフリー関連本の翻訳や解説を務めている、医学博士の白澤卓二さんに教えてもらった。
「グルテンは砂糖よりも早く血糖値を上げる性質を持ち、肥満や糖尿病、高血圧のほか、心臓病、精神疾患など、さまざまな疾患の引き金となります。現代の小麦は、品種改良が繰り返されたため原始的な小麦とは別物です。それは人の耐性限度を超え、さまざまな悪さをするようになってしまった」(白澤さん。以下、「」内同)
グルテンは体だけでなく、脳にも影響があるという。
「小麦が体内に入ると腸内細菌から分泌された毒素が脳にいき、脳に炎症が発生して、反応スピードに遅れが生じます。ジョコビッチ選手はこれを“脳の霧”と表現しましたが、小麦や炭水化物をやめると、それが晴れた状態になり、素早い動きができるようになるのです」
この話は何もアスリートに限ったことではない。“炭水化物=糖質”の摂取を減らすことでエネルギー回路が変わり、健康状態とともに仕事のパフォーマンス向上も期待できるのだとか。白澤さんは、糖質の代わりに脂質をエネルギー源にすることをすすめている。
「空腹時には、甘いものを食べるよりも、コーヒーに大さじ1杯弱のココナッツオイルを入れて飲むのがおすすめです。糖質を控えてケトン体の血中濃度が高くなれば、炭水化物に対する欲求も抑えられますよ」
※女性セブン2015年7月2日