選挙権が得られる年齢を18歳に引き下げる改正公職選挙法が6月17日に可決・成立した。来年夏の参議院選挙から18歳と19歳の約240万人が「新たな有権者」となる。
各党がインターネットを利用した情報発信の拡充など18歳、19歳に支持を訴える策を模索する中、異色の動きを見せたのが自民党だ。党本部に「安倍晋三・首相とのツーショットが撮れるプリクラ」を設置するという。本気なのか。党関係者が語る。
「1997年末、党本部1階のロビーに当時の橋本龍太郎・総理(故人)とのツーショットが撮影できるプリクラを設置したことがあった。それが見学に訪れる高校生をはじめ若者に人気だったので、安倍総理で同じことをすれば若者への訴求になるとの考えだ」
プリクラは「目を大きく」「あごを細く」といった修正ができる機能や、プリントせずにスマホで写真を見られる専用アプリの登場で若者に今でも根強い人気があるが、いくらなんでも安易すぎる。政治とは何も関係ない。党本部の広報担当者はこう答えた。
「プリクラを設置する案があるのは事実です。しかし、18歳選挙権とは直接関係はなく、通常の広報活動の中で設置してはどうかというアイデアを出していたということ。案はあるが、今のところやるともやらないとも決まっていない」
18歳を未来を担う世代と考えていないどころか、完全に“ガキ”と馬鹿にしている心根がよくわかる。
「今回の18歳選挙権で自民党以上に熱心だったのは連立相手の公明党だ。国政選挙で年々獲得票を減らす中、少しでも支持層を広げようと必死だ。創価学会が支持母体だから、家族で入信していれば支持者の子供の票が獲得できるという考えもあるのでしょう」(全国紙政治部記者)
若者に訴求したければ優先すべきは世代間格差の解消や雇用の確保のはずだ。それを疎かにしてプリクラとは。
ちなみに「龍ちゃんプリクラ」が設置された翌年の参院選で、自民党は公示前の大勝予想に反して惨敗。橋本内閣は総辞職に追い込まれている。
※週刊ポスト2015年7月3日号