なでしこジャパンの2連覇がかかったサッカー女子ワールドカップの決勝トーナメントが始まった。なでしこが決勝トーナメント初戦(24日)のオランダに勝利した場合、次の準々決勝(28日)で対戦する相手はブラジルが濃厚だ。
「世界ランク7位ですが、来年自国でリオ五輪が開催されるとあって、チーム強化に力を入れている。5年連続で女子バロンドール(欧州の年間最優秀選手)を獲得したFWマルタを中心とした攻撃陣は強力。MFには澤と同じく6大会連続出場となるベテランのフォルミーガもいる。攻撃力に劣る日本はとにかく守り切って、数少ないカウンターのチャンスをものにする戦い方になりそうです」(スポーツジャーナリストの財徳健治氏)
ロンドン五輪の準々決勝で、なでしこはブラジルの一瞬のスキをついて2-0で勝利したが、その再現ができるかどうか。攻撃の中心を担うのは、ロンドン五輪の対戦でも先制点を叩き出した大儀見優季だ。
「大儀見は欧州リーグで揉まれて大きく成長した。早めの縦パスで大儀見のいる前線にボールを預け、宮間あやや阪口夢穂などのMF陣がスピードに乗って2列目から飛び出していく。そうすればブラジルの守備に穴をあけられるはずです」(財徳氏)
4年前の大会では「ストライカーはとにかく点を取らねば」という思いが強すぎて、自分本位のプレーが目立ち、準決勝からは先発を外される屈辱を味わった。しかし自ら点を取るだけでなく、味方を活かすことを覚えた大儀見の“大人のプレー”が鍵になる。
準々決勝を突破すると、準決勝では開催国で勢いに乗るカナダと当たる可能性が高い。決勝ではドイツあるいは米国といった強豪が待ち受ける。やはり攻撃力ではなでしこ不利と見られているものの、大儀見を中心としたカウンターはゴールを奪う武器となるはずだ。
優勝した前回大会も楽な試合はひとつもなかった。
「なでしこには世界一になった選手がほとんど残っている。接戦になればなるほど、試合運びのうまさやゲームへの対応力がものをいう。連覇は簡単ではないが、可能性は十分にあると思います」(スポーツジャーナリストの西部謙司氏)
再びなでしこが咲き誇る場面が待ち遠しい。
※週刊ポスト2015年7月3日号