地震や台風や疫病──。科学が発展しようとも完全には防ぐことができない事態はまだまだ多いが、災いの訪れによって思わぬ“特需”が生まれることがある。
愛知・豊橋市のメッシュ製品製造会社「くればぁ」。高品質の物作りにこだわり続け、12年前から防菌・防ウイルスのフィルターマスクを製造するが、韓国でのMERSコロナウイルス感染拡大とともに、1万円の高機能マスクを中心に注文が爆発的に増えている。
「これまでの製造枚数は1日1000枚ほどでしたが、韓国や中国からの注文が増え、5月下旬以降、1万枚以上を製造しています。急遽社員を5人採用し休日返上であたっていますが、注文にはまだまだ追いつきません」(中河原毅社長)
一方、宮崎・日南市の油津港ではキハダマグロの記録的な水揚げが続く。例年1日200~300匹のところが、500匹超という連日の大漁。
「口永良部島で最初の噴火があった5月29日から突然です。漁場は鹿児島の屋久島近海。原因ははっきりとはわかっていませんが、何らかの影響で海中のプランクトンがかき回され、餌になる小魚が集まりマグロを引き寄せたのではと考えられています」(日南市漁協業務部・高橋重美部長)
漁港は活気にあふれているが、やはり災いはないに越したことはない。
撮影■渡辺利博
※週刊ポスト2015年7月3日号