意外に知られていないが、年金受給者も国や地方に税金を納めている。毎月の給料から税金が天引きされるサラリーマンと同じように、2か月に1度受け取る年金額のなかから、税金分はキチンと天引きされているのだ。
専業主婦の場合、税金は納めていないので、税金のことはサラリーマンの夫や世帯主に任せておけばよかった。ところが、年金を受け取り始めたら、「納税者」だから「税金のことは難しくてわからない」では、損をすることになる。
年金受給者やサラリーマンの税金の天引き(源泉徴収)は、「本来の納税額より少し多めの前払い」を意味する。サラリーマンの場合、払いすぎた税金は「年末調整」で返ってくるのだが、年金受給者は自分で「確定申告」をしないと取り戻せないのだ。「年金博士」の異名をとる社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーの北村庄吾氏が語る。
「年金受給者がまず忘れてはいけないのが、毎年10~11月頃に送られてくる『扶養親族等申告書』を必ず記入して送り返すことです。特に、夫に先立たれていれば、『寡婦控除』を申請できる。例えば、月額10万円の年金を受給している人であれば、毎月1万円程度支払っている税金がすべて返ってきます。年間で12万円程度、税金を取り戻せるのです」
確定申告では高齢者の場合は特に「医療費控除」の申告が大切だ。病院の診察代や薬局の薬代などの医療費を年間10万円以上使った人は医療費控除を受けられる。例えば、年金月額14万5000円の人は年間4万4000円の税金を天引きされているが、医療費支出が20万円だった場合、1万2000円程度を取り返せる計算になる。
なお、確定申告などで税金が戻ってくるのは、65才未満ならば年金が年額108万円超、65才以上ならば158万円超の人だけだ。
※女性セブン2015年7月2日号