今年のアジアの大学ランキング・ベスト100で、1位は昨年と変わらず東京大学だったが、100位内に入った大学数で、昨年トップだった日本が今年は19校と、中国の21校に及ばず、2位に甘んじるという結果に終わった。中国が大学ランキング数で1位になるのは初めて。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が大きく伝えているが、書き込みでは「中国は共産党による独裁国家で、言論の自由がないのにランキング入りは論外だ」などとの厳しい意見が寄せられている。
このランキングは英紙「タイムズ」が毎年発表しているもので、アジアの大学の研究内容や論文の引用回数、国際化の度合いなど13の指標をもとに大学の優秀さを審査。
1位から10位までは、東京大、シンガポール大、香港大、北京大、清華大、ソウル大、香港科技大、韓国科学技術院、京都大、南洋理工大の順だった。
ベスト100入りした日本の大学は、東京大(1位)、京都大(9位)、東京工業大(15位)、大阪大(18位)、東北大(19位)、名古屋大(32位)、首都大学東京(33位)、東京医科歯科大(40位)、筑波大(48位)、九州大(58位)、早稲田大(59位)、北海道大(63位)、慶應義塾大(73位)、順天堂大(75位)、広島大(78位)、神戸大(81位)、岡山大(88位)、大阪市立大(91位)、千葉大(99位)。
これに対して、中国は21校で、北京大や清華大が昨年よりもランキングを一つずつ上げるなど、中国勢の健闘が目立った。
サウス紙は「中国が常にアジアでトップだった日本を抜いたのは画期的だ。中国政府の国際化戦略が徐々に功を奏していることがはっきりとした」と興奮気味の書き方。
しかし、これに対して、「中国は教員を共産党に入らせ、カリキュラムの内容や授業での討論のテーマを制限し、インターネットを規制するなど、ランキングの基準を満たしているといえるのか」との辛口の書き込みがみられる。
また、中国や香港の情勢に詳しいジャーナリストの相馬勝氏は「香港には大学は全部で6校しかないが、その6校すべてがベスト100入りしている。これこそ高度な自治の賜物だが、今後、中国の影響力が強くなるにつれて、学問の自由も徐々に奪われることが懸念される」として、香港の大学の将来に対する不安を指摘している。