北陸(くぬが)の道で2人の「伝説の助っ人」が、17年ぶりの競演を果たした。
一人は3月からBCリーグの石川ミリオンスターズに監督兼選手として加入した、元ロッテのフリオ・フランコ。主に4番DHとして出場を続けており、56歳とは思えない豪快なバッティングを見せている。
そのフランコから遅れること2か月半。富山GRNサンダーバーズに選手兼野手コーチで加入したのが46歳のタフィ・ローズだ。近鉄、巨人、オリックスに在籍した13年間に放った本塁打は、外国人通算最多となる464本。4度の本塁打王と3度の打点王に輝いたスラッガーである。
「オファーは今年の4月。2009年に引退した後は、米国で子育てに専念していて野球からは離れていたけど、昨年、息子の大学進学も決まったし、もう一度日本でやってみようと思ったんだ」(ローズ)
来日前の1か月間、打撃練習と筋トレをしっかりやってきたというローズは、出場2戦目で初本塁打を記録。5戦目には推定飛距離120mの場外ホームランもかっ飛ばした。
「まだイメージしているストレートのタイミングに少し遅れている。今は勘を取り戻している段階。市内観光もしたいけど、6年ぶりの復帰で筋肉が悲鳴を上げている。あっちこっち痛くて、休日はベッドで横になっているよ(苦笑)」
BCリーグのレベルは「米国の2Aと3Aの中間」と語るローズは、現在ホテル暮らし。いずれは市内にアパートを借りる予定だという。
「富山は食べ物が素晴らしい。特に白エビの刺し身が美味いね。今はダイエット中なので沢山食べるわけにはいかないけど……」
流暢な日本語を話し、サインや写真撮影にも気軽に応じる。ファンからの人気も当然高い。富山は“ローズ効果”により観客が5倍に増え、名前入りグッズは試合前に完売するほどだ。
「ファンは46歳のボクを見て凄いといってくれる。でもフランコ監督は56歳。もっと凄いよ(笑い)」
年を重ねた今もなお、2人のプレーはファンの心を掴んで離さない。
■取材・文/鵜飼克郎 撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2015年7月3日号