2013年のオランダ訪問以来の海外公務となる、7月2日から5日の南太平洋の島国・トンガ訪問が発表された雅子妃。今回のトンガ訪問では、国王・ツポウ6世の戴冠式とそれに続く昼食会に出席する。今回の公務は、体調回復を目指す雅子妃の再スタート地点として理想的な場所とタイミングだったのかもしれない。
その現われが「主治医の不在」だ。
「今度のトンガ訪問には、雅子さまの主治医として、10年以上も寄り添ってきた大野裕医師が同行しない予定です。大野医師は2013年のオランダ訪問には同行しましたが、雅子さまは2年前より体調の回復に自信を深めているのでしょう」(東宮職関係者)
しかし宮内庁関係者からは不安の声も漏れてくる。
「トンガ訪問は庁内に思わぬ波風を立てています。“国内の公務にさまざまな制限がかかっているのに、海外公務だけこなすのは批判を受けかねない”という懸念の声が少なくない」
予定では皇太子夫妻は7月2日夜に羽田空港を出発、民間のチャーター機でトンガに直行する。ベテラン皇室記者はこの旅程に雅子妃への手厚い配慮がうかがえると話す。
「トンガは空港の滑走路が短く、政府専用機のジャンボが使えない。かつて皇太子がトンガを訪れた際は、シドニーを経由して小型飛行機に乗り換えて入国した。今回は雅子妃の負担を考慮して宮内庁はチャーター便を手配しました」
それでも10時間を超えるフライトになる。その大変な旅程が、かえって別の懸念を呼んでしまう。
「5月末に宮崎県で行なわれた『みどりの愛護のつどい』に雅子さまは出席されず、皇太子殿下おひとりのご公務となりました。しかしこちらは飛行機で片道2時間ほど。これほどの長時間移動ができるなら“国内各地の公務だって可能なのではないか”という声も出ています。しかも、外国なら行くのに国民の前には出られないのか、と」(別の宮内庁関係者)
また、トンガ帰国後の国内公務のスケジュールが空白になっていることも気がかりだ。7月上旬の『献血運動推進全国大会』の出席は、いまのところ皇太子のみで雅子妃の名前はない。
万全なサポート態勢が組まれた海外公務と消極的に見える国内公務のアンバランスで危惧されるのは、皇太子夫妻と「国民との距離」が一層開いてしまいかねないことだ。皇室ジャーナリストの神田秀一氏が解説する。
「昭和天皇は戦禍に苦しむ国民を慰めるために全国を行幸された。平成になり、天皇・皇后両陛下も“国民と共に寄り添い歩む皇室”という考えのもとに公務を続けてこられた。それは皇太子ご夫妻にも引き継がれていくべきものではないでしょうか」
※週刊ポスト2015年7月3日号