今季のプロ野球では、ホームランに不思議な傾向が出ている。交流戦終了時点(以下データ同)で、セ・リーグが238本に対し、パ・リーグは306本。チームで最多は65本のソフトバンク(SB)で、最低は阪神の29本。この差は、「(阪神や巨人のような人気球団では)とにかく困ったら進塁打を狙う」(元オリックスコーチの河村健一郎氏)など、セとパの文化の違いが背景にあるとの指摘もあるようだが、原因はそれだけではない。スポーツ紙記者が語る。
「SBをホームラン数トップに押し上げている理由として、球場の変化を挙げないわけにはいかない。今季から導入された『ホームランテラス』の影響は大きい」
各チームが本拠地とする12の球場の本塁打数を昨年と比較してみよう。分析は『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)などの著書がある、野球データに詳しいライター・広尾晃氏に依頼した。
「ヤフオクドームを本拠にするSBは、ここまで31試合で39本塁打と、昨年のヤフオクでの1年分をすでに超えています。ビジター球団のホームランも増え、球場単位で見ると、1試合当たりの本塁打数(1チーム当たり)は昨年が0.52本だったのに対し、今年は1.21本と倍以上のペースです」
一方で、急激に減っている球場もある。巨人の本拠地・東京ドームと、ヤクルトの明治神宮野球場だ。
「昨年、1試合当たり1.26本と最も本塁打率の良かった神宮が、今年は0.78本と減ったのは、昨年31本塁打のバレンティンが故障で欠場していることで説明がつく。だが、1.06本だった東京ドームが0.64本に半減しているのは謎。対戦相手もホームランが減っている。球場に何か“異変”が起きているのかもしれません」(広尾氏)
※週刊ポスト2015年7月3日号