開幕から好調を維持し、17年ぶりの優勝が大いに期待されていた横浜DeNAベイスターズ。だが、交流戦に入ると急失速し、3勝14敗1分で最下位に終わった。交流戦中に始まった連敗は、23日の巨人戦で勝利してようやく12連敗でストップした。この信じられないほどの落ち込みの背景には、頼りになるベテランの不在を指摘する声もある。スポーツライターが話す。
「ベイスターズは、TBSが親会社だった時代から、FAやトレードなどで、ベテランがチームを去っていく傾向が強かった。FAは致し方ない面もあるとはいえ、球団の対応に選手が不満を持ったケースも少なくありません。親会社がDeNAに変わって、外国人やドラフトなどの補強は当たっていますが、ベテラン軽視の体質だけは変わっていないように思えます」
2011年オフ、TBSからDeNAに経営権が譲渡されて以降も、渡辺直人、森本稀哲、鶴岡一成、中村紀洋、金城龍彦といった百戦錬磨の仕事人が放出されている。
野球界には、「困ったときのベテラン頼み」という傾向がある。チームが低迷したときは、経験のある選手が信頼できるのだ。
「ベテランが去ったポジションが、そのまま今年のウイークポイントになっています。レギュラーを固定できていない捕手には鶴岡、遊撃手には渡辺という頼りになるベテランがいた。代打の切り札として、中村や金城も十分に使えた。筒香嘉智やロペスがケガしたときに、2人がいれば……と思ったファンも少なくないでしょう。中村の場合はチームの和を乱す懸念もありますが……」(同前)
トレードされた渡辺と森本は西武で、FAの人的補償で去った鶴岡は阪神で、コーチ就任の打診を拒否してFAした金城は巨人で、それぞれ貴重な役割を担っている。
「中畑清監督は金城を高く評価しており、戦力外の方針を知らなかったと言います。今年もいてくれたら……と思っているかもしれません。35歳の後藤武敏は開幕から調子が上がらず二軍落ち。打者最年長の38歳多村仁志は二軍調整中です。チームが低迷する中、ソフトバンク時代に優勝経験のある多村を一軍に上げてもいいのではないかとは思いましたが……」(同前)
プロ野球の歴史を振り返れば、若手の勢いだけで優勝したケースは稀。DeNAの急失速は、ベテラン軽視が招いた側面というもありそうだ。