スポーツ

東京ドーム本塁打激減 試合時間短縮方針で審判変化が影響か

 今季交流戦終了までのプロ野球12球団本拠地球場での本塁打数を調べると、ヤフオクドームがすでに昨年1年分を上回る39本塁打を記録しているのに対し、東京ドームと神宮球場では急減していることがわかった。『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)などの著書がある、野球データに詳しいライター・広尾晃氏が、東京ドームでの本塁打激減について解説する。

「昨年、東京ドームでは巨人の本塁打が72本、ビジターチームの合計62本の134本が飛び交った。ところが今年は、交流戦終了まででホーム・ビジターともに18本ずつの36本。シーズン換算では合計80本前後のペースです」(広尾氏)

 ヤフオクドームはホームベースからフェンスまでの距離が最大5メートル縮まった「ホームランテラス」の存在も影響しホームラン数が増えたが、東京ドームでのホームラン減少原因は何なのか。有力視されているのが、「ストライクゾーンの拡張」による影響である。スポーツジャーナリストが語る。

「今季、開幕当初から“ストライクゾーンが広すぎるのではないか”という不満が多くのセの選手から出ていました。阪神のマートンやゴメスなどは露骨に審判に抗議しているし、あるアベレージヒッターは“今までの感覚で際どい球を見逃していては三振になる。特に外角の球はストライクになることが多い”と漏らしていた」

 背景には開幕前、熊崎勝彦コミッショナーが打ち出した試合時間の短縮があるといわれている。コミッショナーは、昨年は平均3時間17分だった試合時間を「3時間以下にしたい」と宣言した。

「それを受けて、審判団のストライクゾーンが広がっているのではないか、といわれている。特に東京ドームや神宮のようなホームランが出やすい球場では、乱打戦になると試合時間が長くなりやすい。そのため他球場よりもゾーンを広くとる傾向があるのではないか」(同前)

 打者がゾーンが広くなったと感じれば、三振を恐れて多少の“クサい球”には手を出すようになる。自ずと当てるだけのバッティングが増えていく。しかも前述の通り、元々セ・リーグは「細かい野球」が“お家芸”だ。それがセのホームランの減少を生み出しているという仮説には説得力がありそうだ。

 ちなみに現状、今季の試合の平均時間は3時間11分にまで短縮されている。

※週刊ポスト2015年7月3日号

関連キーワード

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン