迷走が止まらない。汚職問題で辞意を表明していたFIFAのブラッター会長が続投する可能性が出てきた。会長に近い関係者は辞意撤回の理由として、「アジアやアフリカから支援するというメッセージを受けた」と話しているという。
思い返せば、5月27日にFIFA幹部が汚職容疑で摘発された2日後、ブラッター批判が巻き起こる中で行なわれた会長選挙でも、アジアとアフリカはブラッター会長の5選を支持し、再選させていた。
FIFA幹部の逮捕後、日本サッカー協会の小倉純二名誉会長は、「昨年のアジアサッカー連盟総会でブラッター氏を支持すると決めた」と強固な忠誠心を表明していた。
だが6月18日には、FIFA副会長でアフリカサッカー連盟(CAF)会長のハヤトウ氏が、2022年W杯開催地カタールから約2億円もの金銭をCAFが受け取っていたことを明かしたことが報じられるなど、汚染の連鎖は続いている(本人はやましい点はないと釈明)。会長にも捜査のメスが入るといわれているなか、再び支持に回るのは解せない。日本サッカー協会元副会長の釜本邦茂氏は憤る。
「こういう時こそ日本が先陣を切り、すべてをオープンにしろと求めるべきです。サッカー界を良くしたいなら、アジアの代表として、不正の解明を要求する必要がある」
ブラッター会長がここに来て翻意した背景には、他にも理由があるといわれる。反対派の不在だ。
「FIFA内部の改革と会長の即時辞任を要求してきたデグレゴリオ広報部長が、ブラッター派の圧力で辞任に追い込まれた。“邪魔者”がいなくなったことの影響は大きいと見られている」(スポーツジャーナリスト)
FIFAに自浄能力を求めるのは難しいようだ。
※週刊ポスト2015年7月3日号