6月20日、都内で行われた映画『愛を積むひと』(朝原雄三監督)の初日舞台挨拶。劇中では、亡き妻が生前したためていた手紙を受け取る主人公を演じた佐藤浩市(54才)だが、そんな彼に、実の妻からの手紙がサプライズで読み上げられたのだ。
《23年前に浩市さんからいただいたお手紙にあった「僕は一生あなたの味方です」という言葉を、今も忘れません。私の一番の味方は、浩市さんです。だから、どんな困難も乗り越えていけます》
夫への深い愛情が綴られたこの手紙を代読したのは、劇中で佐藤の妻役を演じた樋口可南子(56才)だった。
「今朝、この手紙を渡されて、あまりにもいい手紙でね…。メイクをしながら泣いてしまいました」
涙ながらにそう語る樋口に、「可南子さんが泣くことないでしょ」と、真っ赤な目で茶化す佐藤。そんなふたりのやりとりを、満員の観客が温かい気持ちで見つめていた。
佐藤が妻と結婚したのは、1993年のこと。舞台女優だった妻は、結婚を機に仕事を辞め、役者一筋の佐藤を支え続けた。1996年には長男にも恵まれ、以後、一家3人の幸せな生活が続いた。
三國連太郎さん(享年90)と3番目の妻の間に生まれた佐藤は、その複雑な境遇ゆえ、誰よりも普通で温かい家庭を求めてきた。そんな佐藤の理想の家庭像は、妻のおかげで現実のものとなった。
2008年、佐藤の母が脳梗塞で倒れると、真っ先に自宅に引き取って介護するよう提案したのは、妻だった。
「母親は脳梗塞の後遺症で認知症が進み、佐藤さんの顔もわからない状態でした。そんな母親を奥さんは付きっきりで介護していました。食事はもちろん、排泄や入浴の世話も全て彼女がやっていました」(佐藤の知人)
“糟糠の妻”という言葉がこれほど合う女性も珍しい。そんな妻から佐藤への手紙は、こんな一文で締めくくられていた。
《私は、浩市さんを1人にしないように、浩市さんよりも1日でも長く生きることを約束します》
なんと高く積み上げられた夫婦愛か。
※女性セブン2015年7月9・16日号