当局とのいたちごっこもここに極まれり、という感じはする。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外研究所教授の富坂聰氏が指摘する。
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習近平政権下で官僚の規律が厳しく問い直されるなか、売春に対する取締りも日々強まってきている。
2014年の春節に始まった広東省・東莞に対する大規模な取締りをきっかけにしたその動きは、拙著『中国 狂乱の「歓楽街」』(KADOKAWA/中経出版刊)に書いた通りだが、売春組織と当局の攻防はいま、組織が墓場のなかの廃屋に目を付けてこっそり売春させるというほど追いつめられているというのだ。
ニュースを伝えたのは2015年6月12日(08:34)の『浙江在線』である。
事件発覚のきっかけは、舞台となった浙江省温州市蒼南銭庫の村民たちが、夜になると、墓場の付近の廃棄工場内で動き回る怪しい白い影があると通報したことだった。通報を受けた蒼南警察が調べたところ売春の実態が明らかになったのである。
現場で取り押さえられたのは売春容疑者の5人。調査により売春組織のリーダーと目される陳容疑者が、仕事を解雇されたことで困って売春を始めたことが明らかになった。陳は、売春を提供する場所の確保に困り、最終的に墓場のなかにたどりついたという。つまり、新たなプレイのスタイルではなかったようだ。
送迎バスも用意されていたというが、客も不安にならなかったのだろうか。