「さださんは、本当に多才。ですが自分の才能を押し付けない。大きな懐で、原作とドラマで少し違う部分があってもそれを楽しんでくれるんです。佐野雅志役の菅田将暉くんの演技を“ちゃんと昭和の子になってるよね”と評価し、バンド活動をすすめるなど、期待もしてくれています」
と言うのは、NHK土曜ドラマ『ちゃんぽん食べたか』(NHK総合)のプロデューサーの真鍋斎さん。
このドラマの原作は、さだまさし(63才)の自伝的小説『ちゃんぽん食べたかっ!』(NHK出版)。昭和40年代初頭、家族に期待され、長崎から上京したバイオリン弾きの少年が挫折し、苦悩の中で成長する姿を描いている。
「さださん曰く、“のんきな少年がどんどん挫折していく物語”。夢を失った時、本人の苦悩だけでなく、周囲がどう思い、心を通わせていくのかも描いています。原作に出てくるエピソードはどれも本当に面白く、リアリティーのあるものばかり。さらに、ドラマ化にあたり、さださんから聞かせていただいた新しいエピソードを加えています」(真鍋さん・以下同)
このドラマの見どころのひとつは、佐野雅志少年が、作り歌う楽曲。その劇中歌はすべて、さだまさしが作詞・作曲した。
「メロディーは時代に合わせてなんとなく雰囲気を出せても、独特の感性によるさださんの詞の世界は、誰にもまねできません。昭和の時代にさださんが考えていたこと、また、その当時生み出したメロディーを思い出しながら、作っていただきました」
自分自身のこと、周囲のことを深く考え、進路と真剣に向き合わざるを得ないなか、苦悩していく姿や、生活のすべてを捧げて行ったものを失った時、どうやって希望を見つけていったのかなど、若かりし頃のさだを知る手掛かりになる作品だ。
※女性セブン2015年7月9・16日号