ここに紹介する写真は、警官隊とにらみ合う市民団体。年中、反日デモが起きている韓国では見慣れた風景だが、いつもと異なる点がひとつある。
日韓基本条約の調印から50年を迎えた6月22日、ソウルのウェスティン朝鮮ホテルで朴槿恵大統領出席の記念式典が開かれたのだが、ホテルの外でデモ隊に向かい警備にあたる警官が全員、マスク姿なのだ。いうまでもなく、韓国で感染拡大中のMERSコロナウイルス対策である。
韓国では、デモ警備に駆り出されるのは兵役の代わりに警察に勤務する「義務警察官」が中心。彼らはみな寮生活を送るため、一人でも感染者が出ると警官の間で拡大しかねないので、予防に躍起になっているのだ。
韓国警察庁警備課の担当者によると「MERSが流行してから、希望者にはマスクを制限なく支給しているが、着用を義務付けているわけではない」とのこと。
しかし、デモ隊、報道陣らと並び、揃ってマスク姿なのは約100人集まった警官だけ。全員きっちりマスクをする様子を見る限り、慣れた反日デモよりも、不慣れなMERSのほうが脅威のようだ。
※週刊ポスト2015年7月10日号