全国の多くの医師が参加する医師専用コミュニティサイト『MedPeer(メドピア)』には、医師たちが臨床現場で得た知識や経験が集積されている。同サイトは、医師同士が薬剤の処方実感を共有するなど情報交換を行なう場となっているが、会員医師が答えた様々なアンケート結果を一般にも公開している。
会員医師7万人(アンケート実施時。現在の会員は10万人超)を対象に行なわれたアンケートは、人気番組『世界一受けたい授業』(日本テレビ系)でも紹介されて話題になったが、放送されたのはアンケートのごく一部だった。そこで、患者にとってより気になるアンケート結果をお伝えしよう。
医師が「風邪っぽいと思ったらまずやること」とは何か。「十分な睡眠・休息をとる」が全回答の7割を超えて圧倒的1位だった。
「とにかく休むことです。感冒(風邪)はウイルス感染症で基本的に治療薬がありませんから、休んで病原体排除にリソースを使うべきです」(40代の腫瘍外科医)
患者を薬漬けにしているとする批判がある中で医師の答えは「薬を飲む」は少数派なのだ。処方薬ではなく漢方薬を服用するとの声も多かった。
「症状に合わせて葛根湯や桔梗湯など漢方薬を使い分けています」(40代の循環器内科医)
横浜クリニック院長の青木晃氏(内科医)は独自の対策法を明かす。
「私は漢方に加え、ビタミンCやビタミンDのサプリを併用しています。さらに42~43℃の風呂に水分をこまめに摂りながら繰り返し出たり入ったりする。1回10分程度で、それを3回くらい。体を温めることで免疫力が上がる。半日から1日で症状は良くなります」
4位の〈しっかりした食事〉では、「いつもよりも肉類の多い食事にする」(50代の整形外科医)という意見があった。
アンケートでは〈(風邪っぽい時に)食べるならどっち? おかゆor肉料理〉という質問があったが、結果はおかゆ61%、肉料理が39%。弱った胃に負担をかけないために「おかゆ」を選ぶのが世間の常識だが、約4割もの医師が肉料理を食べているのは意外である。
医師の間では、「風邪の時ほどビタミン、アミノ酸、カロリーが多い食事を摂り、エネルギーを蓄える」という考えが浸透しているようだ。
※週刊ポスト2015年7月10日号