昨今、盛り上がりを見せている「サードウェーブコーヒー」。これは米国発のコーヒー業界のトレンドのひとつで、今年2月に上陸したブルーボトルコーヒーを筆頭に、東京でもサードウェーブのコーヒー専門店が増加傾向にある。都内のコーヒー専門店で勤務する男性Aさん(25歳)が、解説する。
「コーヒーブームの第一の波(ファーストウェーブ)と呼ばれているのが、19世紀後半の大量生産の時代です。アメリカでコーヒーが一般流通し、家庭や職場でコーヒーが飲まれるようになった。いわゆるアメリカンコーヒーの広まりです。第二の波が『スタバ』や『タリーズ』などの深煎りの流行。エスピレッソにミルクを入れるラテが人気を博し、私たちが今利用するシアトル系のコーヒーチェーン店はこの波です。
こうした波に対して、サードウェーブコーヒーは、原点にかえって、ていねいな一杯のコーヒーを提供しようというもの。“ていねいな暮らし”や“ロハス”などが流行っている動きとうまく合致していますね」(Aさん)
サードウェーブコーヒーでは、豆の原産地を重視し、その個性を最大限に引き出すのが特徴的だ。とくに、単一種の苗木から収穫された豆だけで一杯のコーヒーを淹れる「シングルオリジン」が重視される。
ところが、こうしたサードウェーブの流行を受けて、コーヒー好きの間では改めて、酒類を扱わない昔ながらの喫茶店=純喫茶を再評価する向きもある。コーヒーブログを執筆しているという自称「サードウェーブ系男子」のBさん(28歳・IT系勤務)とCさん(28歳・自営業)は、こう話す。
「サードウェーブ系男子としては、その流行に乗るのではなく、逆に古き良き純喫茶に改めて惹かれるようになりましたね。みんなインスタグラムやFacebookに“コーヒー界のApple”と呼ばれる『ブルーボトルコーヒー』などの写真を載せていますが、そこであえて土着の喫茶店を探して、レトロな雰囲気を楽しむのが個人的なブームです。シングルオリジンに負けない美味しいコーヒーを出すお店はたくさんありますよ」(Bさん)
「僕もBくんと一緒で、純喫茶に注目しています。浅煎りで酸味が効いたシングルオリジンのスペシャルティ・コーヒーもいいですが、こぞって『自称おしゃれ男子』が食いついている感じがダサい。新聞や週刊誌を読みながら、ジャズのかかった純喫茶で飲むコーヒーのほうが美味しく感じますし、ていねいに一杯を提供するという意味では『純喫茶こそ本来の日本のサードウェーブ』と言えるのではないでしょうか」(Cさん)
コーヒー界を席巻する“第三の波”。その一方で、コーヒー好きの間では、原点回帰する動きもあるようだ。