国際情報

世界で最も嫌われているプーチン氏に唯一媚びを売る安倍首相

 中国とロシアは世界にとっていま、もっともやっかいな国で、その二か国の指導者である習近平とウラジーミル・プーチンとどのように付き合うかは、世界の指導者にとって重要な課題だ。作家・落合信彦氏が安倍晋三首相の対ロシア、対プーチン戦略について解説する。

 * * *
 先月号で中国が埋め立てを進めているスプラトリー諸島(南沙諸島)をめぐり、米中による「軍事衝突」に発展する危険性があると指摘したが、実際にその後アメリカが明確な埋め立て反対を表明したのは周知の通りだ。すると、中国は埋め立てを“一時停止”すると発表し、事態の収拾に動いた。私が指摘した通り、中国の想像以上にアメリカはこの問題で態度を強硬化しており、焦った中国が引いた格好だ。

 だが、中国がおとなしくしているのもおそらく9月に習近平が訪米するまでのこと。それが終われば、中国は再び南シナ海に戻って仕事を続けるだろう。

 その習近平と並んで、いま世界でもっとも嫌われている指導者が、ロシアのプーチンだろうが、その嫌われ者のプーチンに唯一媚を売っているのが、この国の首相である安倍晋三だ。

 安倍は、6月8日にドイツで行われたG7終了後の記者会見で、「北方領土の問題を前に進めるため、プーチン大統領の訪日を本年の適切な時期に実現したい」と明言した。ウクライナ問題で昨年、G7からロシアが排除され、今回もロシアへの批判が相次いだにもかかわらず、安倍はその直後にプーチンにラブコールを送ったのだ。

 北方領土問題で国内世論向けに自分の得点を稼ぎたいがために、アメリカやヨーロッパの反対も顧みずに宣言したわけだ。

 だが、そのロシア側はどうかというと、安倍がそう宣言した同じ日、国防大臣が北方領土への軍事施設建設を表明したのである。日本のメディアはほとんど報じていないが、ロシアに北方領土を返すつもりがないことなど、これだけで明白ではないか。

 もちろん、プーチンはいざ日本に来たら、「解決に向けて対話したい」などと一定のリップサービスをするだろう。すでに6月19日にプーチンはサンクトペテルブルグで「すべての問題は解決可能」と言っている。さっそく日本にエサをぶら下げているのだ。

 だが、その発言に具体的な内容など何もないし、実際に解決に向けて動き出すこともない。ゴルバチョフのときもエリツィンのときも同じようなことがあったが、返って来る目処(めど)などたったことがない。

※SAPIO2015年8月号

トピックス

希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
NASAが発表したアルテミス計画の宇宙服のデザイン(写真=AP/AFLO)
《日本人が月に降り立つ日は間近》月面探査最前線、JAXA「SLIM」とNASA「アルテミス計画」で日本の存在感が増大 インドとの共同計画や一般企業の取り組みも
週刊ポスト
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト