自民党の「文化芸術懇話会」で言論弾圧すべしとの暴言が飛び出す一方で、同日開催される予定だったリベラル派の勉強会は党によって中止に追い込まれた。このリベラル派による勉強会にゲストとして出席予定だった漫画家・小林よしのり氏が、言論の自由を奪おうとする安倍自民の正体を喝破する。
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ゲストとして招かれていた「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」が、「国会が空転しているから」という理由で開催2日前に急遽中止となった。
しかし、実際に安保法制の国会審議が始まったのは勉強会の翌日の6月26日からだ。しかも同日には同じ自民党内で「文化芸術懇話会」なる安倍支持派の勉強会が開かれている。出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」などという暴言が飛び出し、ゲストの百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は絶対に潰さなあかん」と発言した勉強会だ。
向こうがやれて、こっちがやれないなんて話があるものか。負けたな、と思った。「分厚い保守政治の会」は自民党リベラル派が中心となって立ち上げ、すでに4回の会合を開いていた。そこへ対抗するように作られ、初会合を同日にぶつけてきたのが「文化芸術懇話会」だ。産経新聞(6月24日付)にはメンバーとなっている議員の「首相の再選を阻む“邪魔者”の排除が懇話会の役割」という発言が載っていた。
リベラル派は排除されたのだろう。今、自民党は皆が同じ方向を向くよう強いられ全体主義に陥っている。
朝日新聞電子版(6月26日付)によれば、自民党幹部は「小林氏を呼べば、政権批判をされ、憲法学者が法案を違憲だと指摘した二の舞いになる」と打ち明けたという。
わしと意見が違うならば議論すればよいではないか。わしは当初、「歴史を学んだ保守政治家とはいかなるものか」を話すつもりでいた。もちろん、質疑応答などで安保法制の話が議員側から出れば、その話もするつもりだったし、わしと違う立場のタカ派議員も勉強会に来ればいいと思っていた。だが自民党は幅広い意見を聞いて議論することより党の方針に反する声を封殺することを選んだ。
26日深夜の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系。テーマは「激論!若手政治家が日本を変える?!」)に出演予定だった自民党議員は急遽キャンセルし、歩調を合わせるように公明党議員も出演しなかったため、野党議員だけで番組が進められた。要は若手議員には一切話させないということだ。
総理がいった「国民に丁寧に説明」する場があるのだから出てくればいい。だが彼らは説明できない。自信がない。だから党内に箝口令を敷き、言論統制を行なうのだ。
※週刊ポスト2015年7月17・24日号