国内

自民党勉強会中止の小林よしのり氏 「意見違うなら議論せよ」

勉強会にゲストとして出席予定だった小林よしのり氏

 自民党の「文化芸術懇話会」で言論弾圧すべしとの暴言が飛び出す一方で、同日開催される予定だったリベラル派の勉強会は党によって中止に追い込まれた。このリベラル派による勉強会にゲストとして出席予定だった漫画家・小林よしのり氏が、言論の自由を奪おうとする安倍自民の正体を喝破する。

 * * *
 ゲストとして招かれていた「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」が、「国会が空転しているから」という理由で開催2日前に急遽中止となった。

 しかし、実際に安保法制の国会審議が始まったのは勉強会の翌日の6月26日からだ。しかも同日には同じ自民党内で「文化芸術懇話会」なる安倍支持派の勉強会が開かれている。出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番。経団連に働きかけて欲しい」などという暴言が飛び出し、ゲストの百田尚樹氏が「沖縄の二つの新聞社は絶対に潰さなあかん」と発言した勉強会だ。

 向こうがやれて、こっちがやれないなんて話があるものか。負けたな、と思った。「分厚い保守政治の会」は自民党リベラル派が中心となって立ち上げ、すでに4回の会合を開いていた。そこへ対抗するように作られ、初会合を同日にぶつけてきたのが「文化芸術懇話会」だ。産経新聞(6月24日付)にはメンバーとなっている議員の「首相の再選を阻む“邪魔者”の排除が懇話会の役割」という発言が載っていた。

 リベラル派は排除されたのだろう。今、自民党は皆が同じ方向を向くよう強いられ全体主義に陥っている。

 朝日新聞電子版(6月26日付)によれば、自民党幹部は「小林氏を呼べば、政権批判をされ、憲法学者が法案を違憲だと指摘した二の舞いになる」と打ち明けたという。

 わしと意見が違うならば議論すればよいではないか。わしは当初、「歴史を学んだ保守政治家とはいかなるものか」を話すつもりでいた。もちろん、質疑応答などで安保法制の話が議員側から出れば、その話もするつもりだったし、わしと違う立場のタカ派議員も勉強会に来ればいいと思っていた。だが自民党は幅広い意見を聞いて議論することより党の方針に反する声を封殺することを選んだ。

 26日深夜の『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系。テーマは「激論!若手政治家が日本を変える?!」)に出演予定だった自民党議員は急遽キャンセルし、歩調を合わせるように公明党議員も出演しなかったため、野党議員だけで番組が進められた。要は若手議員には一切話させないということだ。

 総理がいった「国民に丁寧に説明」する場があるのだから出てくればいい。だが彼らは説明できない。自信がない。だから党内に箝口令を敷き、言論統制を行なうのだ。

※週刊ポスト2015年7月17・24日号

関連記事

トピックス

被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
フジテレビの取締役候補となった元フジ女性アナの坂野尚子(坂野尚子のXより)
《フジテレビ大株主の米ファンドが指名》取締役候補となった元フジ女性アナの“華麗なる経歴” 退社後MBA取得、国内外でネイルサロンを手がけるヤリ手経営者に
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバムと住所・職業不詳の谷内寛幸容疑(右・時事通信フォト)
〈15歳・女子高生刺殺〉24歳容疑者の生い立ち「実家で大きめのボヤ騒ぎが起きて…」「亡くなった母親を見舞う姿も見ていない」一家バラバラで「孤独な少年時代」 
NEWSポストセブン
6月にブラジルを訪問する予定の佳子さま(2025年3月、東京・千代田区。撮影/JMPA) 
佳子さま、6月のブラジル訪問で異例の「メイド募集」 現地領事館が短期採用の臨時職員を募集、“佳子さまのための増員”か 
女性セブン
〈トイレがわかりにくい〉という不満が噴出されていることがわかった(読者提供)
《大阪・関西万博》「おせーよ、誰もいねーのかよ!」「『ピーピー』音が鳴っていて…」“トイレわかりにくいトラブル”を実体験した来場者が告白【トラブル写真】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《広末涼子が釈放》「グシャグシャジープの持ち主」だった“自称マネージャー”の意向は? 「処罰は望んでいなんじゃないか」との指摘も 「骨折して重傷」の現在
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン