かつては夢物語だと思われていた「ブログで稼ぐ」という生き方を体現しているプロブロガー・イケダハヤト氏が7月4日、東京・下北沢の書店B&Bで行われたトークイベントに登場した。
昨年春に東京から高知県へ妻子とともに移住したイケダ氏が登場したイベントは「イケダハヤト東京凱旋企画! “東京で消耗している人限定 高知こんなにいいところ&海と山の楽しみ方” Presented by ダイドードリンコ miu @B&B」。第一部は「まだ東京で消耗してるの?イケダハヤト、高知の魅力を語る会」と題し、イケダ氏が充実の高知県生活を話した。第二部は「東京で消耗してる場合じゃないでしょ?山と海で楽しもうよ」と題し、アウトドア誌・BE-PALの大澤竜二編集長とアウトドアの楽しみ方を語り合うとともに、大澤氏が最新のアウトドアグッズを紹介した。
イケダ氏の現在のブログタイトルは「まだ東京で消耗してるの?」で高知生活をいかにエンジョイしているかを日々更新し続ける。イベントでも同様に自身のブログや高知県の写真を観客に披露しながら、高知生活の素晴らしさを解説した。
イケダ氏が高知県移住を考えたきっかけは、待機児童の問題と、妻の通勤時間が往復3時間かかってきたこと。せっかくの家族が一緒にいられる時間が短くなることなどから、より子育てをしやすい場所を見繕っていたことも一つの理由だという。福岡県も候補に考えるなど、全国各地の移住先を探していたが、高知県には「ビビッと来た」ということで、それ以上探してももはや仕方がないと判断し、高知県に決めたようだ。「理由は後付けでなんとかなる」(イケダ氏)とのことで、それ程迷う必要はないと語った。
高知ではとにかくジビエ(イノシシや鹿)がおいしいこと、トマトやニンニクが他の地域とは比べ物にならないほどおいしいことや、高知の飲酒文化では「夕方4時から飲むのが当たり前」といった呑兵衛には嬉しい話もされた。
イケダ氏は年間ブログで1000万円の売り上げを達成したそうだ。高知県に住んでから、書くネタの幅が広がり、アフィリエイト収入等が大幅に増加。となれば、誰もが移住すれば年商が上がると考えるかもしれないが、それは違う。何らかの「個人」としての能力がないと高知県での生活は厳しいという。というのも、正社員の仕事を見つけたとしても手取りが月9万円程度になってしまうというのだ。
今回のイベントでは、高知県室戸市沖の海洋深層水由来の水「miu」がスポンサーについていたが、室戸沖の海洋深層水を使い、青海苔を養殖している人物を紹介。「スーパー育ちがいいんです!」ということで、さらにはこの人物は青海苔で使った水を用いてアワビも養殖しているという。こういった形でアイディアとクリエイティビティを持った人がより活躍できる環境にあると説明した。
また、イケダ氏は「2段階移住」を推奨。高知市のような県庁所在地となっている、それなりの都会に一旦住んでから、雰囲気を味わったうえで、山や海の移住先を考える方が失敗しないのでは、とのことだ。現在は「嶺北地区」という山岳部の人口の少ないエリアに移り、畑の開墾なども楽しみにしている。そこで「BE-PAL」の大澤編集長からはナタとノコギリのセットをプレゼントされることとなり、大喜びだった。
さらにイケダ氏は地方こそ何か新たなクリエイティビティが生まれることも期待している。結局、東京では優秀な人が集まるも、分業制で他の部署のことを気にしながら越境をしない文化があり、専門分野だけを淡々とこなしていくことになるという。これはもはや福岡、大阪、京都、名古屋といったエリアとその周辺も同じようだ。イケダ氏が高知を「ビビッと来た」と言ったが、これは仕事のやり方にしてもやりたいことがしやすく、裁量も多く与えられ、「個人が活躍する」素地が多いことも一つ影響している。