『ゴーマニズム宣言』などで知られる漫画家・小林よしのり氏をゲストに招いた自民党リベラル派の勉強会が党によって中止に追い込まれた。その同時期に自民党議員の勉強会では数々の暴言が飛び交った。小林氏が自民党議員から飛び出した「マスコミを懲らしめる」といった発言の背景を分析する。
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自民党議員の勉強会「文化芸術懇話会」に出席した百田尚樹氏や議員から、マスコミを「潰せ」だの「懲らしめる」だのと暴言が連発されたが、これが現在の自民党の一般的レベルだ。もはやネトウヨと同等まで劣化した。
彼らは「正論」や「WiLL」、「産経新聞」といった紋切り型で勇ましいことばかり書いてウケようとするメディアばかりに目を通しているのだろう。そこに登場する言論人は中韓やリベラル派に対する暴言をためらいもなく吐いている。それを読んでいれば気持ちいいのかもしれないが、一方で本はまったくといっていいほど読まないから違った見解を知らず、幅広い知識がない。
原因のひとつは小選挙区制にある。議員一人一人が駒となってしまい、「個人」に価値がなくなってしまった。そのかわり、いいなりになっていれば生き残れるから、自分でモノを考えようとしない。
本来、勉強会は異なる意見をぶつける場だ。安倍応援団しか呼ばないのならば勉強にならない。
不勉強だから「基本的人権」が何であるかもわかっていない。国民の基本的人権を守るのが国家権力である。国民には言論の自由があり、それは民主主義の根幹をなしている。権力はそれを守る義務がある。そう憲法が定めている。最近の政治家はそれすら知らない。気にくわないメディアには圧力をかければいいという発想は幼稚すぎる。
※週刊ポスト2015年7月17・24日号