3月末に朝の情報番組『スッキリ!!』(日本テレビ系)のコメンテーターを卒業したテリー伊藤(65)が6月30日から、新レギュラーを務める『白熱ライブ ビビット』(TBS系)に出演している。7月2日からは、『チャージ730!』(テレビ東京系)の木曜コメンテーターとして登場。『スッキリ!!』時代には、歯に衣着せぬ発言で“暴走”することもあったが、新レギュラー番組ではどうか――コラムニストのペリー荻野さんが独自の視点で分析する。
* * *
そんなわけで、みんながびっくりしたテリー伊藤の朝の移籍劇。10年近く出演した日本テレビ『スッキリ!!』降板後、わずか三か月で同時間帯のTBS『白熱ライブ ビビット』の火曜と水曜、さらにはテレビ東京『チャージ730!』の木曜日コメンテーターに登場し、世間をあっと言わせた。
『ビビット』登場に際しては、「ビビットについにこの人が!」との声で「文句上等!」とばかりにちゃぶ台をひっくり返す番組CMにも出演。大暴れを予感させたが、初登場の火曜日冒頭では「呼んでいただいてありがとうございます」と意外に低姿勢モードだったのが印象的だった。
その日、井上貴博アナのレポートで「将来、田舎に移住したい人が半数近くいる」という話になったあたりで、エンジンがかかり始めたテリー。自身も鎌倉に家があったとかで、「田舎なら絶対海があったほうがいい。山はさみしいよ!」と発言。井上アナが田舎暮らし体験をしてきたのが、海のない山のお宅だったので、微妙にかみ合わない雰囲気になりつつも、「夕日だって、山より海!」「ヨネスケさんだって、海と山を訪ねるんじゃ、全然違うって言ってた!」と海派発言を繰り返していた。何気なく長く親しまれたヨネスケの「突撃!隣の晩ご飯」の例を出すのもこの人らしい。
そしてそれが日テレ系だってことも実にテリー流だ。目の前で井上アナが家庭菜園でとれた野菜入りカレーをごちそうになろうと、「空気がいい」「時間がゆったり」などと山暮らしを満喫しようと、オレは海ったら海!
こんなテリー流コメントを見て思ったのは、この人はここで「ご隠居モード」に入ろうと決意したのではということだ。人の意見もどこ吹く風、頑固に自分の意見を押し出す。間違っていると思ったらピシっとたたき、感心のないことは聞こえないふり。そんな目で日曜日のTBS『サンデージャポン』を見ていたら、ますますテリーご隠居モードを確信させる場面があった。
デーブ・スペクターの「ワールドワイドニュース」の際、同性婚を認めるアメリカの画期的判決の話で、よせばいいのにデーブが「ハンケツという言葉にミッツが反応」と言いだし、ミッツ・マングローブが目を怒らせ「巻き込むな、あたしを!」とぴしゃり。「バラエティーのやりとりしてください…」と困り顔のデーブだったが、麦わら帽子のテリーは苦笑いでスルー。
続いて関西の番組でうっかり「人気俳優Sが人妻Oを寝取った」と発言したホリエモンに「ネタのセンスが悪い!」と杉村太蔵が突如かみついた場面でも、ふたりの間に座ったテリーはまたまたスルー。よいご隠居ぶりだった。
かつてはハマコーこと浜田幸一、三宅久之など、政治評論家やベテランジャーナリスト、元政治家、スポーツ界の大御所など言いたい放題の名物ご隠居たちが、言い意味でも困った意味でも番組を盛り上げたものだが、ふと見るとそんなご隠居がほとんどいなくなっているのである。今回の移籍は御年65歳のテリー伊藤のテレビプロデューサー魂が、絶滅の危機に瀕した「ご隠居復活」を決意させた結果なのかも。だとしたら、マネのできない演出技で「大暴れご隠居伝説」を見せてほしい。