戦後70年を迎え、“歴史認識”という武器で、日本を揺さぶり続けている中国。その行方は、最高指導者の習近平国家主席の意向にかかっている。
このたび、ジャーナリストの相馬勝氏は、2012年に日本が尖閣諸島の国有化へ動いた際、習近平国家主席が中国共産党の長老などにあてた「反日」書簡を入手した。その機密文書からは、習近平主席の日本に対する強い敵意が読み取れる。相馬氏の最新刊『習近平の「反日」作戦』(小学館刊)に掲載された機密文書の一部を公開しよう。
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現在の天下の変の最大の要因は日本の策動だ。(中略)日本政府による釣魚島(尖閣諸島の中国名)の「国有化」の行動はすなわちこのような蠢動の悪例である。(中略)私は次のように我々の方針と策略を建議する。
第1に、国内の民衆の反日デモを抑制しない。日本製品の不買、排斥及びその他の騒動を恐れず、民衆の矛盾の鉾先が我々(中国の党と政府)に向かないようにすべきだ。
第2に、米国との良好な関係を維持し戦後の国際秩序を守り、日本の軍国主義の復活と拡張に強く警告するように呼びかける。
第3に、台湾とは密接に接触し、中国が釣魚島の主権を保持していることを共同で宣言し、両岸の協議を進めるように具体化して、両岸の民衆が釣魚島周辺で漁業を行い、非暴力非武装による中国の主権を宣言する。民間の自発的な行動という形式で、我々は数千、数万の漁船を釣魚島やその周辺の海域に派遣し、必要ならば、日本の艦船を包囲してしまう。もし、日本側が両岸の民衆の財産及び生命に危害を及ぼすような事態になれば、両岸政府はともに協調して、一切の権益を保護し、両岸の民衆を守るべきだ。
第4に、国際連合に我々の釣魚島の主権を守るように正式に呼びかけ、必要ならば、国際連合及びその関連の国際機関に対して、討論、評決を求めるべきだ。
第5に、日本の外交をくじくために、対日経済貿易制裁を発動して、有形無形に圧力をかける。この結果、中国経済には一時的に影響が出るかも知れないが、わが党の執政と国内の安定維持には大きな圧力は加わらない。
第6に、軍事的に釣魚島を保持する準備を整える。日本が「国有化」を進めるならば、台湾と協力して、漁民漁船を保護するとの名目で、軍艦を釣魚島周辺に派遣する。もし、米国が曖昧な態度をとり続ければ、日本は孤立化するであろうし、釣魚島周辺海域で海軍が軍事演習を実行することも可能だ。
※相馬勝・著『習近平の「反日」作戦』より