女子サッカーW杯2015カナダ大会で惜しくも2連覇はならず、準優勝となったなでしこジャパン。とはいえ、男子サッカーに比べると、まったく環境が整っていない日本の女子サッカーの現状を考えると決勝戦で負けたとしても、快挙であることは間違いない。なでしこリーグでプロ契約を結んでいるのは、日本代表クラスの一部の選手だけであり、澤穂希選手(36才)でさえ年俸600万円ほどだといわれている。
一方で、海外移籍をすれば億単位の年俸をもらえる男子選手。特に日本代表クラスともなれば、高額年俸選手が多い。しかし、以前、日本代表の出場給と勝利給を巡って日本プロサッカー選手会と日本サッカー協会が揉め、選手会側が親善試合のボイコットを示唆したことがあった。このとき、なでしこジャパン・大儀見優季選手(27才)は、
「おまえら何のためにサッカーやってんだ?と思った。女子は世界一になりたい、うまくなりたいという純粋な思いでやっている。代表に選ばれたらお金がもらえなくてもプレーするのが使命」
と男子選手をバッサリと切り捨てた。
「これは多くの女子サッカー選手の総意でしょう。男子なら大して活躍もしていない選手でも何千万という年俸をもらっているわけですから。しかも、日本代表クラスになれば、スポンサー料やCM契約料など年俸以外の収入も増えるわけですからね。女子選手が“それだけ貰っているんだから、代表の試合ぐらい、誇りを持って無償でサッカーしろよ”と思っても何ら不思議ではありません」(女子サッカー関係者)
こうした恵まれない環境下で「世界一」を目指して戦ってきたなでしこジャパン。そんな彼女たちだからこそ、数多くの逆境を乗り越えて勝ち進むことができたのだろう。
『自分道 自分をつらぬき歴史を作った女たち』(角川SSC新書)の著者で作家・玉岡かおるさんはこう言う。
「なでしこジャパンももちろんプレッシャーはあったと思いますが、彼女たちは、それよりもチーム一丸となって、最高の仲間たちとサッカーをすることを、心から楽しんでいるのが伝わってきましたよね。それがなでしこの特徴である結束力に繋がっていったのでしょう。また彼女たちにはプレッシャーをしなやかに受け止める強さがあったと思います。
一方で男子の場合、そのプレッシャーが悲壮感になって表れている気がします。これが男女の大きな差になっているのではないでしょうか。彼女たちには、やはり恵まれない環境の中で、這い上がってきたという強さがあるんです。それが決勝での“諦めない”というプレーに繋がって、多くの人々を感動させたんだと思いますよ」
※女性セブン2015年7月23日号