李洙ヨン(リ・スヨン)北朝鮮外相が6月中旬、北京に4日間も滞在していたにもかかわらず、北京の北朝鮮大使館に閉じこもったままで、中国政府関係者と接触しなかったことが分かった。
北朝鮮では現在、「100年に1度の干ばつ」が続いており、中国外務省は「支援の用意がある」と発言。このため、李氏の北京入りは中国政府高官との会見のためとの見方もあったが、結局、両者の接触がなかったことで、「中朝関係が冷え込んでいる」ことを証明した形となった。
中国メディアによると、李氏は18日に平壌を出て北京に到着。その後、市内中心部の北朝鮮大使館に滞在し、21日に北京国際空港からアフリカに向けて飛び立った。
李氏のアフリカ諸国歴訪は発表されており、北京が経由地であることは分かっていたものの、北京に4日間も滞在することから、その間、中国高官と会談するのではないかとの観測が流れていた。
この間、韓国メディアの北京駐在記者が北朝鮮大使館前で張り込みをしていたものの、李氏は大使館から一歩も出なかったという。
米政府系報道機関「ボイス・オブ・アメリカ」によると、李氏は赤道ギニアなどを訪れ、北朝鮮が赤道ギニアから30億ドル規模の情報通信事業を受注したという。北朝鮮は、昨年も赤道ギニア・モンゴモ市のセキュリティシステム構築プロジェクトを請け負っている。両国は1969年に国交を樹立している。
今回の外相の訪問目的が分かったことで、対中関係は冷え込んだままであることが浮き彫りにされた。
ところで、今年3月に平壌に赴任した中国の李進軍駐北朝鮮大使もいまだに金正恩第1書記と面会できていないが、前任の劉洪才大使は2010年3月初めに赴任したあと、1か月もたたないうちに当時の金正日(キム・ジョンイル)総書記と面会し晩餐をともにしていたことから、「中朝両国の対立は深刻で、関係は最悪」(北京の外交筋)との見方が広まっている。